2020年東京オリンピック時は
石坂産業が「サイクリング拠点」になる!?

神田石坂産業が世界へ出ていくというストーリーは、5年後くらいに現実のものとなるでしょう。いまから3~5年間は現在の事業がどんどん伸びて、石坂社長の社会的役割が大きくなっていくはずです。僕は埼玉県出身なのですが、東北復興のためにも、東京~福島間にある埼玉や北関東ががんばる必要があります。石坂産業は「環境」というテーマでその中核を担えます。2020年の東京オリンピックには、多くの外国人がやってきます。そうした人たちに石坂産業の広大な里山を案内するのもいいでしょう。

石坂 今年の秋頃に「多世代コミュニティくぬぎの森交流プラザ」が2億円の費用をかけて完成します。日本各地だけでなく、世界各地から多くの人たちに当社にきてもらえる環境をつくろうと思いました。じつは「交流プラザ」をサイクリングの拠点にしようと思っています。自転車も無料で貸し出そうと思っていますし、ロードサイクルの人たちにも寄ってもらおうかと。

神田 埼玉は森と水の街並みが多い。オリンピックで東京を訪れた人が、ちょっと足を伸ばせばサイクリングができる。とってもいいですね。

石坂 廃棄物に関する研究が日常的に行えるよう、将来的には研究機関もつくりたいと思っています。そこに廃棄物のリサイクル化や地域環境と共生する活動に関する「知」を集結させて、興味を持ってくれる世界中の学生たちと共同研究してみたいのです。さまざまな観点からの声を集め、より豊かで誰もが活用できるフィールドができたら、先人が守り続けた土地も自然の里山も喜んでくれると思います。

神田 石坂社長のストーリーが実現するよう僕も応援したいと思います。

石坂 ありがとうございます。「ストーリー思考」のおかげで過去と未来が明確になりました。

神田 楽しいひとときでした。こちらこそありがとうございました。

<著者プロフィール>
埼玉県入間郡三芳町にある産業廃棄物処理会社・石坂産業株式会社代表取締役社長。99年、所沢市周辺の農作物がダイオキシンで汚染されているとの報道を機に、言われなき自社批判の矢面に立たされたことに憤慨。「私が会社を変える!」と父に直談判し、2002年、2代目社長に就任。荒廃した現場で社員教育を次々実行。それにより社員の4割が去り、平均年齢が55歳から35歳になっても断固やり抜く。結果、会社存続が危ぶまれる絶体絶命の状況から年商41億円に躍進。2012年、「脱・産廃屋」を目指し、ホタルや絶滅危惧種のニホンミツバチが飛び交う里山保全活動に取り組んだ結果、日本生態系協会のJHEP(ハビタット評価認証制度)最高ランクの「AAA」を取得(日本では2社のみ)。
2013年、経済産業省「おもてなし経営企業選」に選抜。同年、創業者の父から代表権を譲り受け、代表取締役社長に就任。同年12月、首相官邸からも招待。2014年、財団法人日本そうじ協会主催の「掃除大賞」と「文部科学大臣賞」をダブル受賞。トヨタ自動車、全日本空輸、日本経営合理化協会、各種中小企業、大臣、知事、大学教授、タレント、ベストセラー作家、小学生、中南米・カリブ10ヵ国大使まで、日本全国だけでなく世界中からも見学者があとをたたない。『心ゆさぶれ! 先輩ROCK YOU』(日本テレビ系)にも出演。「所沢のジャンヌ・ダルク」という異名も。本書が初の著書。