2014年12月23日、12年連続増収増益の株式会社武蔵野社長で、指導500社中100社が過去最高益&倒産ゼロの「経営のカリスマ」小山昇氏がツイッターでこうつぶやいた。
「箱根の帰りに、妻が『絶対絶命でも世界一愛される会社に変える!――2代目女性女性の号泣戦記』を読み終える。借りて読んだ。一番の勉強は、取締役社長と代表取締役会長です。お父さんは、役者が上過ぎて娘に感じさせないのが凄いですね」
その16日後、小山社長と初登場Amazon総合1位&第4刷、「AERA」にも登場した話題の石坂典子氏との対談が実現!小山氏のツイートの真意に迫る後篇をお届けする。

床にはエロ本散乱、壁にはヌードグラビア

小山 昇(こやま・のぼる)
株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年生まれ。12年連続増収増益、日本で初めて「日本経営品質賞」を二度受賞(2000年度、2010年度)。「指導500社中100社が過去最高益」「13年連続倒産企業ゼロ」を達成。全国各地で年間240回の講演・セミナーを開催。現場の叡智が詰まった内容は、全国各地から「今日から仕事に役立つ」と現場見学会参加者があとをたたない。机上の空論は一切なし!実務中心の内容が口コミを呼んでいる。著書に、『【決定版】朝一番の掃除で、あなたの会社が儲かる!』など。

石坂 小山社長の武蔵野さんは、最初のうちは暴走族上がりの人がいたそうですね。

小山「上がり」じゃなくて暴走族です。それも何人もいました(笑)。

石坂 そうした社員さんに整理、整頓、清掃を徹底することで会社を変えてこられたのですね。

小山 はい。

石坂 うちも似ています。いまから12年前の社内は、床にはエロ本が散乱して、壁にはヌードグラビア、社員はヘルメットをかぶらずにサンダル履き、くわえたばこで出入りする状態でした。
 こうした状況を改善するため、私も整理、整頓、清掃の3Sを実施しました。
 まずは不要なものを徹底的に捨てました。ロッカーや引き出しを開け、マンガやヌードグラビアをがんがん捨てさせます。
 すると、社員が見えないように別のところに隠すので、それを見つけて、また捨てさせる。それの繰り返しでした。

石坂典子(いしざか・のりこ)
石坂産業株式会社代表取締役社長。「所沢ダイオキシン騒動」最中に2代目社長に。地域から嫌われ、社員の4割が去る絶体絶命の状況から「脱・産廃屋」を目指し、社員教育を断行。12年かけて、トヨタ、全日空、日本経営合理化協会、各種中小企業、大臣、知事、大学教授、タレント、ベストセラー作家、小学生、中南米・カリブ10ヵ国大使まで、日本全国だけでなく世界中からも見学者があとを絶たない企業に変える。 経済産業省「おもてなし経営企業選」選抜。2013年末、首相官邸からも招待。財団法人日本そうじ協会主催の「掃除大賞」と「文部科学大臣賞」をダブル受賞。『心ゆさぶれ! 先輩ROCK YOU』(日本テレビ系)にも出演。ホタルやニホンミツバチが飛び交う里山保全活動に取り組み、JHEP(ハビタット評価認証制度)最高ランクの「AAA」を取得(日本では2社のみ)。「所沢のジャンヌ・ダルク」という異名も。本書が初の著書。(撮影:平山順一)

小山 整理、整頓、清掃が好きな人はいません。これを徹底させることで社員が変わっていきます。また、社長を元気にする効果もあります。うちの会社には、うつなどの精神の病にかかる社員がいません。
 それは朝一番の掃除、つまり「環境整備」で小さなストレスをかけ続けているからです。

石坂環境整備が根づくと社員が変わるというのは同感です。当社の場合、実施し始めてから8年がすぎた頃、社員の意識が変化してきました。

小山 8年! 根づかせるまでが大変ですよね。言葉で言うのは簡単だけれど……。どうやって根づかせたのですか?

石坂1日2回巡回しました。その頻度でチェックしないと、社員の気持ちが離れてしまうからです。私は現場を歩き、12年間1日も休まずに「巡回指導報告書」を書き続けました。

小山 毎日というのはすごいですね。

手を離しても「目を離さない」時期

石坂 8年がすぎた頃、社員の意識が変化してきたのがわかりました。

小山 次のステップに上がるタイミングです。人を育てるには、
(1)「手を離さない時期」
(2)「手を離しても目を離さない時期」
(3)「目を離しても心を離さない時期」

 があります。ちょうど、(2)「手を離しても目を離さない時期」がやってきたのです。