新型「MX-5」(ロードスター)の開発コンセプトを「感を共創すること」と熱く語る、担当主査の山本修弘氏 Photo by Kenji Momota

「感」とは、「感覚」「感度」「感性」という、とても人間らしい領域。だがそれを開発陣全員が正しく理解し、商品として具現化することは極めて難しい。当然、「NA」「NB」「NC」の開発でも行われてきた作業のはずだが、「ND」では「感」を徹底的に際立たせたのだ。デザイン、パワートレイン、車両開発、生産など、「ND」に関わる全員がそれぞれの担当領域を飛び越えて、「感」を「共創」したのだ。

 その「感」。実際に走って、筆者の口から出た言葉を以下に列記してみよう。なお走行ルートは、山間部のワインディング、高速道路、そして小さな街のなかが適度に組み合わされた約80kmの行程だ。

「(ボディは)小さいけど、乗っている感覚として小さく感じない」

「(車重は)軽いけど、軽々しい動きではない」

「ドライバー自身が球体の中にいて、コロコロコロっと動く感じ。一般的なクルマのXYZ軸での動きと違う」

「サスペンションがよく動くのが分かる。特にリアが動く。単純にしなやかで安定安心という感じではなく、ワクワク感と躍動感がある」

「どんな走行条件でも、気持ちがスポイル(気が抜ける)されない。すべての動きのなかに一定の緊張感がある。だがそれで、疲れることはない。心地良い」

「クルマの動きとドライバーとの接点が、点ではなく面というか、クルマ全体という感じ。スポーツカー試乗で表現されることが多い、路面からのフィードバックを手の平、腰、おしりから感じるのではない。クルマと常に対話しているようだ」

「(赤信号停止中)750rpmのアイドリング状態でクルマの振動をほとんど感じない。とても静かだ。エンジン振動をドライバーが感じ取れるのは、シフトレバーからだけ」

「(エンジンを最大回転数7500rpmまでブン回して)この音、なんだ? いったいどこから出てくる? それに、エンジン回転数の上昇とクルマからの音が、5000rpmあたりから一定になるような、うるさくないような、なんだ、これは?」

「街中を4速1750rpmでゆっくり走っていても、なんだかワクワクする」

「どうして、こんなに素直にカーブでの旋回が始まるのか。なにかが違う…」

「手動式の幌なのに、室内でシートベルトをつけた状態で、上半身をひねりながらしっかりと収納できるのが良い」

「オープンにすると、ドアの内側上部が外部のフェンダーと一貫してデザインされていることがよく分かる。単純な開放感ではなく、上質でワクワクする開放感だ」