“米国”の大手格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が1月26日、ロシアの長期債務(国債)格付けを“投機的”等級の「ダブルBプラス」に1段階引き下げたと発表しました。同国経済の成長見通しが悪化していることが格下げの理由です。
これを聞いて筆者は、S&Pが2010年4月にギリシャを同じように投機的等級に格下げした「ギリシャ危機」を思い出します。投機的とは、投資不適格と同義であり、一般的な機関投資家は、保有している当該国の国債を問答無用で売却をしなければなりません。当該国からすると、国債がさらに売られるということになります。さらに言えば、当該国は国債を買い入れて通貨を発行するなどしていることから、国債と通貨は表裏であり、結果として通貨も売られることになります。今回も当然、ルーブルは下落しています。
ロシア国債の格下げは
致命的な打撃にはならない
しかし、今回のロシアの格下げは、同じS&Pが行ったギリシャの格下げと比べると影響は、致命的というほど大きくはありません。なぜなら、ギリシャの格下げは予想されていなかったタイミングで、かつ、3段階もの格下げだったのに対し、今回のロシアの格下げは予想されており、その度合いも1段階であったことです。
さらにロシア国債特有の状況があります。
ロシアは1998年にも債務不履行(デフォルト)を起こしており、国際金融市場から一度撤退していました。その関係もあって、海外諸国のロシア国債保有率が約一割強と少ない。そのため破滅的な状況にはなっていないのです。
原油安が引き起こした
通貨ルーブルと株価の急落
ロシアは新興大国群BRICSの構成国で、資源の輸出で国の経済を支える資源国です。特に石油・ガスが主たる資源で、ロシアの輸出の約7割を占めています。財政に関しても歳入の約4割を石油・ガスの企業からの税収に頼っています。基本的に石油とガスの価格は連動性があります。そのため、ロシアの場合は、石油・ガスの価格が、通貨(為替レート)や株価と連動します。もっと言えば、石油・ガスの価格が国の経済と連動します。