業績を決めるのは技術的要因、
その技術的要因を育む人的要因

 私が試みたことは、業績への「効き目」をトップからボトムまで368項目をずらりと並べて、上位の顔ぶれを眺めて、その特徴を――可能ならばその法則性を――見い出そうとしたわけです。

 そうすると、領域レベルで見れば製品開発が最も業績との相関度が高く、二番目はマーケティング、三番目は財務管理……と続いて行きます。要因レベルでは、戦略要因がトップで、人的要因の重要性はこれに及ばないという姿になっています(どのような分析でこの数字を算出したかについては、本書をお読みください)。

 ところで、この数字は図表2の右側、業績相関度上位25%の「業績牽引最重要項目」のものですが、真ん中の上位26~50%の「業績牽引重要項目」を見ると、要因レベルでは人的要因がトップに来、領域レベルでは経営理念がトップに来ています。 

 このような数字の並び方をどう読むかです。要約すれば、業績への相関度のトップレベル(例えて言えば金メダル水準)は製品開発やマーケティング、財務管理といった技術的要因が上位を占めていますが、銀メダル水準では経営理念がトップを占めています。これをどう総括しましょうか。

 結論です。業績を決めるのは技術的要因ですが、その技術的要因を育むのは人的要因、なかんずく経営理念で、経営理念を核とする人的要因の充実こそ経営成功の土台にある隠れた秘密だということです。