本気の社外取締役は迷惑?
必要な人材は足りるのか?

 一連のガバナンス改革の中で、社外取締役は、経営者が株主利益よりも自らの保身に走ることがないように見張る番犬のような役割を期待されているようだ。社外取締役には、経営者から見て気の抜けない存在であることが求められている。

 社外取締役を選任するのは実質的には経営者であることが多い。経営者から見ると、真に厳しい社外取締役の存在は重荷だろう。高い見識を持って経営を厳しくチェックしているように見える対外的アクセサリーとしては高級品が欲しいが、本当に厳しくチェックされるのではかなわない、というあたりが多くの上場企業経営者の本音ではないだろうか。

 ところで、特定の時期の特定の会社のケースで全体を判断すべきではないが、企業ガバナンスというと、いち早く委員会設置会社になったソニーが思い浮かぶ。その後のソニーに経営が上手くいっていたようなイメージはない。ストリンガー前社長も、現在の平井社長も、社外では「辞める方がいい」と言われることが多かったが、社外取締役から彼らに強い圧力がかかったという話は聞こえてこない。

 また、大きな上場企業ではなくスタートアップ企業について述べたものだが、ペイパルの共同創業者であるピーター・ティールが著した「ゼロ・トゥ・ワン」では、スタートアップ企業にとって理想の取締役の数は「3」だという。もちろん、その人選が非常に重要であることが強調されている。

 会社とビジネスをよく理解し、経営者に緊張感を与えつつも、経営者に良いアドバイスを与え、彼(彼女)を鼓舞する。こうした取締役がいると理想的だが、さて、上場企業の数に仮に「3」を掛けるとしても、世間には素晴らしい人材が必要な数だけいるのだろうか。