今年4月以降、一時安定性を取り戻した株式市場の動向が、ここへ来て再び怪しくなっている。特に、景気回復の期待が盛り上がっていた米国の株式市場において、不安な動きが増幅している。

 その背景には、「米国経済の早期回復に対する期待が剥落している」ことがある。

 ニューヨーク在住のファンドマネジャーの友人は、「市場関係者の最大の関心は、今年後半、株式市場の“二番底”が来るかどうかに集中している」と指摘していた。

 2007年夏のサブプライム問題の表面化以降、基本的に米国株式は軟調な展開を続けて来た。昨年9月のリーマンショック以降の景気の急落を受けて、株式市場は下落の速度を速め、今年3月にニューヨークダウ平均株価は6500ドル台まで落ち込んだ。

 しかしその後、潤沢な資金の一部が株式市場に向かい、徐々に景気回復への期待が盛り上がったことによって、米国の株式市場は少しずつ安定性を取り戻した。

 その動きを受けて、世界の株式市場、特に中国やロシアなどの新興国の株式市場を中心に、少しずつ上昇傾向が鮮明化している。

くすぶる株価の“二番底”不安
米国経済の底打ちはまだ先か?

 問題は、これから米国の実体経済が期待されたような回復過程を辿ることができるか否かだ。仮に、米国経済が期待されたような足取りを辿ることができないと、期待が膨らんだぶんだけ調整幅は大きくなるはずだ。

 最近の不動産価格の動向や米国の雇用統計などの数字を見る限り、米国経済の回復には依然として不透明要素が多い。今後の株価調整は、覚悟した方がよいだろう。

 さらに、大手企業のさらなる破綻や、商業不動産価格の下落が追い討ちをかけるようなことがあると、「今年3月の安値を割り込む=二番底」が現実的になる可能性はある。その場合には、わが国をはじめ世界の株式市場にも大きな影響が出る。そのリスクは、頭に入れておくべきだ。

 では、世界危機の震源地となった米国現状はどうなっているのか? 具体的に分析してみよう。