大正末期から昭和初期にかけての東京湾埋め立て工事によって出現した豊洲。造船所や火力発電所のある工業地域として発展してきましたが、21世紀に入ってから、街の様子がガラリと変わって、商業地、住宅地への移行が進んでいます。

 かつての面影はまったくなくなったかと思われるほどの大変貌の中、豊洲交差点の東側のほんの一角に、昔の豊洲を感じることができるエリアがポツリと残っています。今日はそんな一角にある、魚が自慢の大衆酒場「山本」にやってきました。

 以前は私の職場も豊洲にあって、ここ「山本」にも足しげく通っていたのです。この暖簾をくぐるのは実に9年ぶり。懐かしいなぁ。

 昭和49年創業。カウンターとテーブル2卓の、合わせて20数名分という小さな店内は、店を切り盛りする店主夫婦も含めて、当時とちっとも変わっていません。

 カウンターの中ほどに座り、まずはホッピー(450円)を注文すると、計量用のグラスで定量入れられる焼酎(銘柄は「宝」)は、氷入りのホッピーグラスの7~8分目にも達するほど。残ったわずかな場所に、別に出される瓶入りホッピーを注ぎ、濃い焼酎を、わずかなホッピーテイストでいただきます。ホッピーは、この飲み方も美味しいんですよねぇ。

 料理は、天然カンパチ刺身(630円)や、地ダコ刺身(420円)、活ホタテ刺身/バター焼(370円)、ナマコ(420円)など、全部で40品ほど。一番安いメニューがモロキュウの150円で、一番高くてもアンコウ鍋の950円と、千円を超えるものはありません。

 最初にいただいたマグロ中落ち(390円)は、長方形のお皿にたっぷりと12切れ。この値段、このボリュームが「山本」ですねぇ。嬉しいくらい変わっていません。

 平日にもかかわらず、開店時刻の午後5時を30分ほど回った時点でもう満席。う~む。人気のほうは以前よりもうんと高まっているのかも。

 ホッピーの焼酎だけをおかわりし、つまみにはアジ焼サンガ(350円)を注文。その焼サンガのできあがりを待つ間に、漬物(200円)もいただくと、キュウリと白菜が丸皿にたっぷりと盛られて出されます。

 久しぶりの「山本」を、ゆっくりと2時間ほど堪能して、今日のお勘定は1800円。昔のまま、なにも変わらない豊洲が、ここにありました。

お店 中落ち 漬物で一杯
高層ビル化する中で、昔ながらの雰囲気を味わえる 中落ちはこのボリュームで390円 なめろうを炙ったサンガ焼きが
できるまでは、漬物で一杯

【お店情報】
店名: 大衆酒蔵「山本」(やまもと)
電話: 03-3533-1420
住所: 江東区豊洲4-6-7
営業: 17:00-23:00、日祝休