BCGは、大半の方々が道中のどこかで違う会社へと旅立っていく、いわば「卒業モデル」の組織です。卒業した方々は「アラムナイ(卒業生)」と呼ばれ、BCGの重要な資産と考えられていて、ある意味三菱グループとも共通する会社・組織の枠を超えた育成観が根付いていると言えます。

 そのときは上司→部下の関係であっても、その部下がいずれ羽ばたき、将来より大きな志の実現のために、一緒に協業できるパートナーとなる可能性もあるわけです。こうした育成観はつまり、相互尊重やパートナーシップにまで発展し得るという点で非常に重要だな、と改めて思いました。

 さて、先日辞めた私の部下は、私にこんなメッセージをくれました。

「都合良く聞こえるかもしれませんが、自分がこれと決めた道なので、がむしゃらに頑張ってそれを極めて、近い将来、自分の専門性で、多くの企業のお役に立てるようになることが自分の使命であり、平井さんやBCGへの最大の恩返しだと思って頑張ります」

 自己の成長も、会社というハコも、何かの目的や使命を全うするための手段に他なりません。こうした目的や使命感を若いうちから持つことは、育つ側、育てる側双方にとって大切な事だと思います。

自分を追い込む選択で
成長のきっかけを掴む

 今考えると、三菱商事を辞めたのには、当時は自分でも意識していなかったもう一つの理由があったように思います。私はどちらかというと怠惰な性格で、自分を強制的に追い込まなければ、その時必要なことを学べない人間であることをどこかで認識していたようです。ですので、道を選ぶ時は、自分を追い込むチャレンジになる方を選択してきました。

 例えば、私は小学校時代を米国で過ごし、日本の地元の中学校を卒業して慶応義塾高校に入学したのですが、色々あって停学になり、高校1年を半分も終わらないうちに留年することになってしまいました。そのまま日本に残れば(留年は確定だったものの)慶応大学まで内部進学で行けた(と思う)のですが、両親とも相談の上、小学校時代を過ごした米国の町の近くにある公立高校へ単身で転校することにしました。

 次回以降の話となりますが、オリコンの副社長としてそれなりに実績を出し、割と順風満帆だった頃、あえてその環境を飛び出したのも、チャレンジの選択でした。BCGへの転職も今思えばまさしくその一端といえます。