3月15日、東京証券取引所マザーズ市場に上場予定のライフネット生命保険。既存の生命保険会社とは異なるビジネスモデルで急成長して注目を浴び続ける。生命保険会社でありながら「ベンチャーを通じて日本の社会を変える!」といったメッセージを発信してきたことで“応援したくなる会社”という独自のポジショニングを得つつある。同社において、そうした独特のポジショニングで急成長してきたのは、“会社の看板なしで勝負できる”キャリアを歩む、“個人力”に長けた社員達である。前編に引き続き、ライフネット生命保険副社長の岩瀬大輔氏に、自分の専門性を発見し、不確実性の高い時代を泳ぎ切る術に迫る。
働くべきは、
見晴らしのいい会社
1976年埼玉県生まれ。1998年に東京大学法学部を卒業後、ボストン・コンサルティング・グループ、リップルウッド・ジャパン(現RHJインターナショナル)を経て、ハーバード経営大学院に留学。同校を日本人では4人目となる上位5%の成績で卒業(ベイカー・スカラー)。2006年にライフネット生命保険の設立に参画。2009年2月、代表取締役副社長に就任。世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2010」選出。
南 岩瀬さんから見て、これからのビジネスパーソンの市場価値の高め方というのはどういったものでしょうか?
岩瀬 その業界が見渡せる、見晴らしのいい会社、つまりリーディングカンパニーに行くのが大切だと考えます。ネット業界に進みたいのなら、今業界で一番成長しているIT企業に入ってみる、あるいは自分でベンチャーをやりたいなら、まずベンチャーに居たことがなければ何も分からないので、まずは一番勢いのあるベンチャーに飛び込んでみる、ということが最短距離だったりします。
これはまた、会社の仲間づくりでも指標として役に立ちます。前述の常務取締役の中田は、スターバックス、Gabaを経て弊社に入社しました。スターバックスはオシャレカフェのパイオニアであり、Gabaは英会話のリーディングカンパニーです。特に僕はGabaのセンスのいい広告には惹かれていて、そこで活躍していた中田は、僕にとってマーケティングの師匠でした。起業前から度々訪問しては質問攻めにして手帳一杯にメモを取っていました。そして2008年、中田から会社を辞めるということを聞き、僕は弊社に来て欲しいと誘ったのです。
南 今後は中田さんのように、企業の中で培ったスキルを使って、様々な事業体や企業とコラボレートすることで自分のバリューを発揮していく働き方は増えていくのでしょうか?