同調査は、過去を振り返って回答を得たものとなるが、1人目を妊娠した939人のうち15%が切迫流産を経験し、12%が早産を経験していた。さらに、こうした分娩異常を経験した妊婦の労働時間の中央値は全体で週58時間、切迫流産で63時間、早産で62時間となり、「なかった」場合の週50時間と比べて有意に高かった。

 切迫流産の発生率は、週40時間以下の人と比べ71時間以上で3.17倍と、母親の年齢、世帯収入、診療科目などを調整しても有意に高くなった。早産については、51時間から70時間で2.46倍、71時間以上で4.19倍という結果が統計学的に有意に出ており、労働時間が長いほど妊娠異常が起こる率が高まることがわかった。この調査結果についての論文は、国内の医学界雑誌より格付けが高いとされる国際学術誌『BMC Pregnancy&Childbirth』(2014年6月)にも掲載され、信頼性の高いものと言える。

 働く女性の妊娠異常について調査が少ないなかで、日本労働組合総連合会(連合)はマタハラ調査の続編ともいえる「働く女性の妊娠に関する調査」を2015年2月に発表した。

 同調査は、働きながら妊娠をした経験がある20~49歳の女性1000人に妊娠中の働き方についてインターネットによって聞いている。妊娠中の1日の労働時間は多くが「約8時間」であったが、「9時間以上」が16.6%となっており、そのうち早産した人が4人に1人、流産してしまった人が5人に1人に上った。

 また妊娠中の働き方について、「夜勤(午後10時以降の勤務)や深夜残業、当直などの泊まり勤務があった」と7.9%が回答した。仕事内容では、「立ったまま仕事をすることが多かった」が37.3%、「重い物を持ち上げる仕事が多かった」が14.3%、「ノルマや締め切りがあるストレスの強い仕事があった」は10.1%だった。これらの仕事によって、早産や流産の割合が約10ポイント高まることも調査結果に表れた。

 業務の負担軽減などの配慮については、「十分に受けられた」が45.2%だったものの、「受けられたが、十分ではなかった」が28.9%、「出血や切迫早産などで医師の指導があるまでは受けられなかった」が6.6%、「一切受けられなかった」が19.3%という状況だ。実際に切迫流産や切迫早産になった人のなかでも、4人に1人は十分な配慮がされない、または申し出ても配慮されなかったなど、事態は深刻だ。

看護師なら夜勤をやって当たり前
嫌なら辞めてパートになれ

「夜勤さえ免除されれば、産まれてこられたかもしれないのに」

 看護師の三上良子さん(仮名・32歳)は、白衣を脱ぐ決意をしている。勤め先の病院は慢性的な人手不足で、「正職員なら夜勤をやって当たり前。夜勤が嫌なら辞めてパートになれ」と言われる。