そしてそれを裏付けるように、通信のトラフィックやビジネスモデルの巨大化・多様化・複雑化、という共通課題に対して、三者三様のアプローチを採っていた。同じコンセプトや問題意識でありながらアプローチが異なるということは、ニーズが細分化しながら拡大していること、つまりインフラ分野が活況を呈していることの証左でもある。

 さらに、このトレンドは確実に日本へやって来る。フィーチャーフォン全盛だった頃の日本は、MWCが表現する「世界的なモバイルトレンド」とは、ややもすれば一線を画する動きをしていた。そうした動態を揶揄したのが「ガラパゴス」という言葉である。しかし今は、スマートフォンとLTEの世界的な普及によって、MWCのトレンドと日本のトレンドは、大きく近づいた。

 だとすると、日本のベンダーにも活躍の場はあるのだろうか。少なくともそうであってほしいと私は願っているし、日本勢も高い技術を有してはいる。しかしMWCだけで判断する限り、やはり新しいアプローチの「提案」が圧倒的に足りない。いずれも詳細は次回触れるつもりだが、同じような技術力だったはずなのに、かなり差をつけられてしまった、というのが率直な印象である。

地に足がつき始めたサムスン

 端末やコンシューマ向けサービスでポジティブな印象を受けたのは、サムスンである。グローバルに苦戦が伝えられ、特に日本市場に関しては「撤退」などという言葉さえも並びかねない状況だが、場合によってはその日本市場でも、今後巻き返していくのではないか、とさえ思えた。

世界的なスマホ販売不振を経たサムスンの成熟サムスンの新作「Galaxy S6」 Photo by Tatsuya Kurosaka

 今回のMWCで、サムスンは彼らの主力機種であるGalaxyシリーズの最新作「S6」と「S6 edge」を発表した。それぞれの特徴については、すでにあちこちのWebメディア等で報じられている。たとえばこちらの記事(参照:ケータイWatch)が詳しいだろう。

 筆者もプレスとしてMWCに参加したので、実機に触れることができた。感動のようなものはなかったのだが、とてもよくできた端末で、持っていて不満はなく、手に入れた多くの人はきっと満足するだろう。だから、「プレスだけが手にとって実機に触れます」と言われて、実際に手にとってみても、正直に言えば「ふーん」という感じだった。

 しかし、会場を歩き回り、国内外の事業者やアナリストと話をしていくうちに、もしかするとこれはサムスンの成熟なのかもしれないと、徐々に感じるようになった。

 昨年までの同社は、どこか気負いが空回りしていたような気がした。アップルに対抗しうる筆頭であり、巨大なアンドロイドのエコシステムを牽引するリーダーである、というプレッシャーがあったのかもしれない。実際筆者は、昨年の記事で次のように書いている。