金銭以外の「給与」を
見積もって転職活動しているか
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金銭という意味での給与のほかに、「見えない給与」があるのをご存知でしょうか。
先日あった事例です。あるコンサルティングファームに勤め、30代前半で年収900万円を得ている候補者がいました。「年収を下げたくない」と語っていた彼にはすぐ、急成長中のIT企業から年収1100万円という好条件のオファーが出ました。私はすんなりその会社で決まるだろうと思いました。
しかし最終的に彼が選んだのは年収700万円台でオファーがあった、社会貢献活動を支援する仕事でした。全体的な給与水準が前にいた会社より低く、加えてこの候補者にとって未経験の業務も含まれるためオファーはIT企業をはるかに下回る水準でした。
そんな決断をした理由は彼が将来、社会起業家になりたいという希望を持っていたことにありました。年収は下がってもこちらのほうが夢に近付けると考えたわけです。
当初は年収を下げたくなかったこの候補者ですが、金銭的な収入はダウンしても新しい仕事のなかに「見えない給与」を見出したことが決断の決め手になったといえます。IT企業に転職すれば目先の条件はアップしますが、本来望んでいるキャリアの方向性からはそれてしまいます。
ところが社会貢献活動支援の仕事に転職すれば本来やりたい分野で新しいチャレンジができ、仕事のなかで人的ネットワークを広げていくことも可能で、「社会起業家になる」というゴールに向けて前進できる。この候補者にとってそれは年収ダウンの金額を補って余りある「見えない給与」だったのです。