年収アップ、ポジションアップはいらない
リーマンショックで変わった「転職の常識」
ひと昔まえまで、転職といえば、年収アップ、ポジションアップが前提でした。ですから、そうした条件を持った上で、転職のご相談にくる方がとても多かったように思います。しかし、リーマンショック以降、転職についての考え方が大きく変化してきていると感じています。
具体的にいえば、「年収はダウンしてもかまわない」ので転職したいという相談が増えました。現職企業が業績悪化にともない希望退職を募っているであるとか、そこまではいかなくても将来がまったく見えないと感じているという話です。
どの会社でも35歳前後になれば、会社のなかでの評価も決まってきます。会社によっては部長や執行役員、子会社役員などになっている方もいるでしょう。成長企業、特にインターネット企業であれば、35歳前後の社長は珍しくないですし、創業者ではなくてもバトンタッチを受けて上場企業の経営者になっている方もいます。アイレップの紺野社長、セプテーニの佐藤社長などが実例です。
20代であれば黎明期のベンチャー企業への転職も最近は珍しくなくなってきましたが、35歳という年齢を考えますと、ご家族のいる方も多いですし、なかなかそのような企業への転職には足踏みしてしまう方も少なくないでしょう。
では、35歳からの転職にはどのようなパターンが考えられるのでしょうか。いくつか例を挙げて紹介していきましょう。
外資系を渡り歩けるのはごく一握り
20代でのグローバル企業経験が必須
まず挙げられるのが、「外資系企業でのキャリアアップ」です。
1社目から外資、または20代で外資に転職をして、次々と転職しながら年収をあげていくというタイプ。主に米国企業、または欧州企業が多く、傾向として年収をあげるには、日本進出の際に、幹部や幹部クラスのメンバーとしてスタートアップに参画するという方法があります。日本市場で成功すれば、年収だけではなく、ストックオプションなど多くが手に入ります。アマゾン、Googleなどが該当する例です。
こうしたケースは以前から実例としてありますが、日本市場が縮小傾向にあるなかで外資系企業が日本に魅力を感じなくなってきている、また進出しても規模を拡大しないという会社も多く、小粒になってきている印象があるのも事実です。