キャリアアップ――。
自分の可能性を広げようと、資格取得や転職活動を頑張る人が近年、増えています。ところがキャリアアップを通して「年収はどれくらい増やしたいの?」と尋ねると、回答できる人は意外と多くありません。キャリアアップすれば、結果(収入)は自ずと後からついてくると考えているのでしょうか。いえいえ、どうやらそうではないようです。キャリアアップをしても、年収アップにはつながらないとはじめから達観してしまっている“諦め組”が多いようなのです。
せっかく努力したのに得るものがなくても構わないというのでしょうか?どうやらこうした思考になるのは、長い景気低迷の影響もあるようです。そこで今回は、キャリアアップに関するイマドキの実情について考えてみましょう。
「役職が上がっても年収は増えない」
それでもキャリアアップしたい人が9割
球団(プロ野球)事務所でたくさんの記者に囲まれての会見。緊張した面持ちでいる選手の第一声はこのようなものでした。
「球団側から『(自分に)残ってほしい』という気持ちが感じ取れなかったので、この度、チームを離れることにしました」
長年、お世話になったチームとの決別。これをFA(フリーエージェント)宣言と言いますが、今では秋の風物詩になりつつあります。FAとはいずれの球団とも選手契約を締結できる権利を持つ選手になること。通常、その権利を得るまで8~9シーズンかかります。まさに自分の将来を自分で決められる貴重な機会です。ところが、多くの選手は現球団に残ります。「君には期待している。だから残ってほしい」と遺留され、その誠意で留まる決断をすることになるのです。
一方、FA宣言して別の球団のオファーを受ける選手も数名います。その理由として、よく挙げられるのが球団の態度です。ただ、このようなコメントをした選手が移籍先となる球団と高額な年棒で契約する様子を野球ファンは数多く見てきました。それゆえ、こうして球団を離れる選手に対して、
『いろいろ言っているけど、結局は「報酬>気持ち」じゃないの』
などとネット上でコメントがたくさん書き込まれているのをよく見受けます。プロ野球選手の活躍できる期間は、限られています。ゆえに高い報酬で移籍することが悪いとは思いません。ただ、その本音を隠した発言に疑問を感じてしまうのでしょう。
では、ビジネスパーソンの転職において、報酬はどれくらいの重要なものでしょうか?