家具大手の大塚家具で勃発した“親子げんか”。父と娘による委任状争奪戦にまで発展したが、株主総会は娘の勝利で幕を閉じた。これにより大塚久美子社長の続投が決まったが、依然として混乱の火種はくすぶり続けている。(「週刊ダイヤモンド」編集部 大矢博之、柳澤里佳)
Photo by Hiroyuki Oya
「大塚家具のブランドが毀損されている。(親子が)歩み寄って握手すれば済む話なのに、なぜできないのか」
3月27日、東京・有明で開催された大塚家具の株主総会。創業者の大塚勝久元会長と長女の久美子社長が、会社の経営権をめぐって舌戦を繰り広げた場で目立ったのは、“お家騒動”を憂う、冷静な一般株主たちの質問だった。
それに対し久美子氏は、「企業経営には歩み寄ってよいものと、そうでないものがある。残念ながら難しい」と回答。口調は淡々としていたが、親子の対立が根深いことを物語っていた。
両者の経営をめぐる対立は昨年7月までさかのぼる。当時会長だった勝久氏が、久美子社長を解任し社長を兼務。久美子氏が社長就任後に展開した北欧風家具を扱う新業態の店舗や通販サイトを相次いで閉鎖するなど、久美子氏の路線をことごとく否定していった。
対する久美子氏は今年1月から巻き返しを図る。勝久派だった社外取締役の辞任を契機に、勝久氏の三女の夫である取締役を味方に付け、取締役会で社長に復帰した。
これで対立は決定的となり「今の消費者に合わせた改革が必要」と強調する久美子氏は勝久会長の解任を、「10年前の元気だったころの会社に戻す」と主張する勝久氏は久美子社長の解任を求める議案を株主総会に提出。泥沼の親子対決に突き進んでいったのだ。