目立つ同族経営の混乱
当事者は経営者失格
Photo:東洋経済/アフロ
最近、同族経営に関するニュースを目にすることが多い。大塚家具の父と娘の確執、ソフトメーカーの創業者関連の相続問題、さらには雪国まいたけの創業家内部の対立など、いわゆる“お家騒動”などが目立つ。
“お家騒動”は最近の企業経営に限らず、世の東西を問わず、古代から現代まで様々なところで起きていることだ。肉親間の争いがいったん始まってしまうと、血のつながりがある故に解決の糸口を見つけることが難しくなるようだ。
肉親として信じていた人同士が争うと、どうしても遠慮がなくなったり、心の中の肉親という意識が邪魔をしたりして、物事が一段と難しくなってしまうのだろう。
しかし、企業経営に“お家騒動”を持ちこむことは言語道断だ。肉親同士の反目や争いは、一族間で好きなように自由にやればよい。企業という社会の公器の中に持ち込むべきではない。
今回の大塚家具の親子の反目は目に余るものがある。創業者である父親と、父親の後を継いで社長に就任した長女が同社のビジネスモデルについて反目し、それに長男等の肉親が加わって大騒ぎになっている。
ビジネスモデルに関する見解が異なることは、普通の企業でも十分に起こり得ることだろう。しかし、その場合には、意見の異なる者同士が議論を重ね、一つに方向に収束させることが企業経営者としての役目だ。
大塚家具のケースでは、経営者はその役割を果たすことができていない。いくら同族企業だからと言って、企業に大きな混乱を持ちこむことは許されない。当事者は経営者失格ということになる。