どこまでもフラットで全員で攻守
「全員乗組員」と「トータルフットボール」
篠田:『だから、僕らはこの働き方を選んだ』の中で、目指しているのは「トータルフットボール」だというくだりがありますよね。
林:東京R不動産は、それぞれの個性を持ったメンバーが持ち味を活かしてプレーするわけですが、組織として一人のスターを立てたり、個々の役割や配置を監督が指揮する感じではありません。それぞれのプレーヤーは、バラバラに動いているようでいて、必要なときには助け合い、連携する。それぞれのプレーヤーがチームの勝利を目指すために協力し合えば、みんながうれしい。みんなが頑張ればみんなが得するということです。
篠田:ああ、わかりますね。ほぼ日では、会社を船にたとえ、「板子一枚下は地獄」と言っています。つまり船底の下は大海原で、港を出てからは波任せ風任せで人の力がおよばないこともある。底板が割れたらおしまい。自分たちはその船に乗る、運命共同体。個々に得意分野やできるできないの違いはあれど、それぞれが役割を持って、人によってはいいヤツだからいてくれるだけでいいんだよ、ということも含めて、船の乗組員であると考えています。
つまり、働く人たちはみんなフラットなところにいて、船頭はトップにいるのではなく、いちばん前にいる。フラットな組織だといっても、みんながそれぞれ得意分野を生かしながら助け合っています。
吉里:僕らでいうと、全員で攻め、全員で守る、ということですね。それがまさにトータルフットボールです。個々のプレーヤーは、自由に動き回りながらその場の判断をし、あたかもチーム自体が一つの生き物のように流動的に形を変える。
メンバーの中に皇帝がいたり、監督がうるさく威張り散らすのではなく、豊富な運動量と卓越した技術、全体を俯瞰できる広い視野を持った個々のプレーヤーが活躍する。そういう組織のフリーエージェント・スタイルを目指しています。(第2回に続く)