採用担当者が一所懸命進めている中途採用のプロセスが、候補者からはあきれられている状況が、多くの会社で生じている。採用手法の巧拙は、企業の成長度を測るバロメーターだ。売り手市場の今日、採用活動は企業が候補者を選ぶ場のみにあらず、候補者がしっかりと会社の成長度合いを見極める場でもあるのだ。

“3点セット”の提出を強要する会社は
なぜ業績が伸びないのか?

 先月、総務省が発表した、2015年2月の全国有効求人倍率は1.15倍で、実に1992年以来22年ぶりの高水準を示している。

 あくまで全体で見れば、の話ではあるが、候補者が企業を選びやすくなっている。こうした状況の中で、採用面接において、候補者がしっかりと採用担当者を見極めたり、会社の成長度合いを判断したりするポイントをご紹介したい。

企業に選ばれることばかりに目を向けず、採用プロセスで企業を見抜く目を持とう  Photo:taniho-Fotolia.com

 今回、取り上げるポイントは5つ。最初のポイントは、応募書類だ。多くの企業では、候補者に、応募にあたって3点セットの提出を要求する。履歴書、職務経歴書、志望動機書の3点である。さすがに少数派になったが、未だに履歴書は手書きでなければならないとしている会社があることは驚きだ。

 昨今は、履歴書と職務経歴書を一体にして記述する欧米型の紹介書も普及しているが、ある著名なグローバル流通企業の日本法人ですら、ファイルが3点でないと受け付けなかったり、履歴書はひな形どおりでないとプロセスを進めない。人材紹介会社は、半ばあきれながら、しかしお得意さまの言いなりになってそれらを候補者へ強要している。

 こうした会社は、人材を採用するという目的よりも、採用の手順と形式をより重視しているのであろう。理由はさまざまあるかもしれないが、統一された書式やプロセスを逸脱することをよしとしない、いわば変化に対して柔軟ではない側面が見て取れる。業績伸展できない企業の典型例である。