有沢 そう思います。どちらかというと日本の伝統的な企業というイメージがありますが、実際はフレキシビリティに富んでいますよ。

南 それは役員層だけでなく、ほかの管理職層でも同じですか?

有沢 はい。部長や課長、専門職でも、「こういった専門性を持つ人がいない」となれば外部からの雇用を考えるなど柔軟です。例えば、グローバル営業の経験者が少なかったので、東南アジアに強い部長クラスの人材を採用しました。他にIR部長なども中途採用の優秀な女性です。

南 とても先進的ですね。

有沢 極めて先進的だと思います。とはいえ、女性の活用に関しては遅れていて、昨年初めてプロパーの女性社員が課長職に昇進しました。それまでは、課長以上の管理職にプロパーの女性社員が1人もおらず、部長や課長の女性は全員中途で採用した社員だったのです。そうした人材育成が課題で、ダイバーシティをどう推進していくのかは、私の重要なミッションの一つです。今年の4月からは、ダイバーシティ推進準備室も設置しました。

 海外拠点ではHRのディレクターやマネージャーはほとんどが女性で、カンファレンスに出席するとカゴメの男性は私一人ということはよくあります。グローバルでは、ダイバーシティがかなり進んでいて、もちろん宗教や、LGBTは全然気にしません。

ビジネスパーソンに必要なのは、覚悟
上司にも部下にも、覚悟をもって接するべき

南 面白いですね。イメージが変わりました。それでは最後に、30代、40代の方へのメッセージをお願いします。

有沢 現在人事の仕事をしている方には、「あなたは人の一生を決める大きな責任を持っている。その覚悟はありますか」と問いたいです。若手の人事向け研修で、「皆さんはその人の一生だけでなく、その人の家族や親族の将来まで決めてしまう権限を持っています。一歩間違うと大変なことになるでしょう。そこには覚悟が必要で、責任を持たなければいけません。その『覚悟』があって今日ここに来ていますか。もし持っていなければ、持ってもらわないと困ります」と話しています。

 経営企画や総務などの部署はもちろん、ほかの部署でも立場が上になれば責任が重くなるのと同時に覚悟も重くなります。30代、40代は多くがマネジメントに携わる立場だと思いますが、そこで必要なのは、部下のキャリアをきちんと考える覚悟があるかどうか。人に対してきちんと説明できて、責任を負えるだけの覚悟をもって仕事をすること。これは難しいことではなく、少し考えればできることです。「耳の痛いことを言う人がいるうちが華」で、覚悟をもって発言する人がいるというのは、会社のトップにとって実はすごく幸せなことなのです。将来自分がトップになったときは、ぜひそういった人を大切にしてください。間違った公平感が生まれないように。

南 肝に銘じます。今日は本当にありがとうございました。