経営 × 財務

有識者会議の座長が明かす
コーポレートガバナンス・コードに込めた理念
池尾和人・慶應義塾大学経済学部教授(上)

【第7回】 2015年5月27日
previous page
3
nextpage

――株主の中には、投機的なファンドもいるので、短期的な成果を求められることもあると思います。

 日本企業は株主、投資家との対話がこれまで不足していたのではないか、という認識は持っています。そのため、株主との対話についてもコードに盛り込みました。少数株主も尊重されなければなりませんが、株主全員と時間をかけて対話するというわけにもいかないでしょう。そこは、個々の会社が判断すべき部分もあると思います。ただ、基本として、長期保有の大株主としっかり対話することを求めています。

 特徴の二点目は、ステークホルダーとの適切な協働です。ここでいうステークホルダーには、株主だけでなく、従業員や顧客・取引先、地域社会などが含まれます。ただ、株主以外のステークホルダーも大事にするというのは、実は日本企業だけの特徴とは言い切れないかもしれません。

 たとえば米国の多国籍企業、ジョンソン・エンド・ジョンソンのクレドは「顧客が第一」であって、以下、従業員、地域社会と全世界の共同社会と続き、株主に対する責任は四番目となっています。これは、この順序で責任を果たせば、「株主への責任は自ずと果たせるというのが、正しいビジネスの論理なのだ」という考えに基づいています。ステークホルダー全体との協働を重視する考えは、世界に通じているとも言えるでしょう。

ガバナンスは経営者自身が
考えるべきもの

――コーポレートガバナンス・コードの原案がまとまったことを受けて、東京証券取引所は規則を改正し、6月から施行して、コードの適用が始まる予定です。初年度については、上場企業各社は遅くとも年内にコーポレートガバナンス報告書を提出するように求められることになります。戸惑いを感じる企業もあると思いますが、どのように対応すべきでしょう。

 突き放すように受け取られるかもしれませんが、自分が経営する会社のガバナンスを他人に考えてもらうというのはナンセンスで、経営者自身が考えるべきことだと思います。コーポレートガバナンスのあり方は、会社の規模、業種・業態、従業員やステークホルダーの構成などによって違ってきます。

previous page
3
nextpage

最新コンテンツ CFO、CEO、ビジネスリーダーが知るべき経営プラットフォームの概念と実際

財務基盤改革の最新事例を知る Case Study


「プロ経営者の教科書」CEOとCFOの必修科目

企業経営に携わるCEO、CFOには、M&A、コーポレートガバナンス、リスクマネジメント、財務戦略、グループ経営管理、テクノロジーなど、様々な分野の知識が求められる。こうした知識を蓄えることは経営者の「教養」を深めることにつながり、企業経営の質を高めて行く。CEO、CFOが学ぶべき「必修科目」とは何か。各分野の第一人者たちに聞いて行こう。

「「プロ経営者の教科書」CEOとCFOの必修科目」

⇒バックナンバー一覧