トヨタとマツダが業務提携で合意
「トヨタグループ入り」は既定路線?

トヨタ・マツダ包括提携の衝撃 <br />生き残りをかけた自動車大再編“第五幕”の予兆トヨタとマツダの提携記者会見で、息がピッタリの様子を見せた豊田章男・小飼雅道両社長。両社の提携が自動車業界に投げかけた波紋は、小さくなさそうだ Photo:Natsuki Sakai/AFLO

 トヨタとマツダが業務提携で合意し、豊田章男・トヨタ社長、小飼雅道・マツダ社長による緊急記者会見が、5月13日の夜に行われた。その日、横浜本社で行われた日産の3月期決算発表に出席した筆者も、カルロス・ゴーン・日産社長の会見に出たその夜、トヨタとマツダの会見に臨んだ。

 両社は、「クルマが持つ魅力をさらに高めていく」ことを念頭に、両社の経営資源の活用や、商品・技術の補完など、相互にシナジー効果を発揮し得る、継続性のある協力関係の構築に向けた覚書に調印したと発表した。

 都内ホテルで行われた両社の業務提携会見は、冒頭から豊田章男・小飼雅道両社長によるにこやかな笑顔での握手撮影から始まる異例なものだった。「結婚会見なのか」と質問が出たほどだが、「結婚と言うより婚約会見」と豊田章男社長が答えれば、「従来の提携の枠組みを超える」と小飼社長も応じる。2人の息が絶妙にマッチしていると感じた。

 いずれにしても、このトヨタ、マツダの業務提携合意会見は、提携合意における両社の共通認識を披瀝するものにとどまった。具体的な合意内容や成果に関しては触れられず、今後両社で組織する検討委員会において、環境技術、先進安全技術といった分野をはじめとする、互いの強みを活かせる具体的な業務提携の内容の合意を目指していくというものだった。

 むしろ、トヨタがハイブリッド技術をマツダへ供与し、マツダがメキシコ新工場で生産する「デミオ」をトヨタの米国ベビーブーマー向けブランド「サイオン」へOEM供給するというように、両社はすでに相互連携の関係にあり、これを発展させる業務提携ということになる。マツダのメインバンクは三井住友銀行だが、三井家は豊田家の姻戚関係にもあたるため、こうしたところにも縁を感じる。

 つまり、マツダがトヨタとの包括的業務提携に進むことで、「トヨタグループ入り」を明確にすることが、今回の発表のポイントと言えよう。