「あんなにきついことをするぐらいならデブのままでいい」
と言われて

 それは、とある人気レストランでの出来事でした。食事を終え、お店を出ようとしたとき、1年前に「高価格帯短期間プログラム」を終了したクライアントのFさんと偶然再会したのです。

 確か彼は、2ヵ月で10kg以上のダイエットに成功した記憶がある。
でも、今目の前にいるのは、プログラムを受ける前のFさん……いや、正直言ってそのときよりも太っている姿でした。

「あらら、少し戻ってしまわれたのですね」
Fさん「そうなんですよ。半年ぐらいはいい感じにキープしていたのですが、ちょっとずつ生活も食事も元に戻っちゃって、気が付いたらこのありさまです」
「でしたら、もう1回頑張ってみませんか?」
Fさん「いや、もう自分はダメな人間なんです。あれつらかったし、ひもじかったし。あんな思いをもう1回するぐらいなら、このままで十分です」

 私はそのとき、申しわけない気持ちでいっぱいになりました。

 Fさんは、リバウンドとともに、やっぱり自分はダメな人間なんだという自信まで無くされていたのですから。

 翌日から、私はこれまで自分の元を卒業していったクライアントさんに連絡を取ってみることにしました。その結果、全員とは言いませんが、かなりの人が1年ほどでリバウンドしていたうえに、みなさん口をそろえてFさんと同じ言葉、「あんなにきついトレーニングをまたしてまで痩せたいとは思わない」と言うのです。