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「フォトショップの父」が語る
定番ブランドを25年間維持できた理由

――アドビ システムズ フェロー トーマス・ノール氏に聞く

ダイヤモンドIT&ビジネス
【第56回】 2015年6月1日
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新機能は、ユーザーの1割が
利用してくれれば上々

 このように、25年間でデジタル画像処理の世界も大きく変わったが、一貫して変わらないのは、プロのカメラマン、デザイナーの要求に応え続けてきた基本ポリシーだと、ノール氏は語る。「その時々で、最も高いクオリティで画像を処理できることを追求してきました。それが、プロカメラマン、デザイナーがフォトショップを使い続けてくれた最大の理由だと思います」

 25年の歴史の中で、さまざまな機能が搭載されているが、やみくもに機能を増やしてきたわけではないという。どのような基準で機能を選んでいるのだろうか。

 「何の機能を盛り込むかは、まずユーザーである画像処理のプロたちの要望を考慮していますが、最終的には、私と私のチームがジャッジを下します。搭載した機能があまり使用されなければ、次のバージョンでは採用されないこともあります。おおむね、10%のユーザーが使用していれば人気の高い機能と言えるでしょう。たとえば25年前の『バージョン1』から搭載されている機能の1つに、『画像のレベル補正』がありますが、これは今でも非常に多く利用されている定番機能の1つです」

タブレット版アプリにも
プロ仕様のエンジンを搭載

 ノール氏は、2002年から「ライトルーム」というソフトウェアの開発を開始する。これは、プロ用デジタルカメラの画像フォーマットである「カメラロー(RAW形式データ)」を直接編集するソフトだ。当時はカメラメーカーが提供するローデータ処理ソフトをユーザーが使用していたが、各社のデータがバラバラで、互換性はなかった。共通フォーマットのソフトを作る要望は、アドビにも寄せられた。

 そこでアドビが、各社ごとのデータフォーマットを取り込んで、1つのソフト上で、どのメーカーのカメラのローデータでも同じインターフェースで使用できるようにした。ここから、「フォトショップ+ライトルーム」はデジタル画像の処理環境としていっそう強い基盤を備えることになった。

 写真家であるノール氏自身も、「ライトルームを作ってから、個人的にも本格的にユーザーとしてフォトショップを使い込むようになった」と語る。

 ライトルームは、iPadなどタブレットでも使えるアプリも登場している。タッチ操作のため使い勝手は異なるが、画像データを処理する基本プログラムはPC版と共通なので、カメラマンが現場で画像の調整をするのに使うこともできる。しかも、タブレットで処理した画像を自宅でPCから開いても、画像の調整データは完全に互換性があるという。

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