田中恵子さんは、本社が兵庫県芦屋市にあるデザイン会社TCDの東京オフィスに勤務する。TCDは商品のブランディング、ロゴデザインやパッケージデザインなどのほかに、最近はWebサイトやアプリのデザインを手がけるクリエイター企業だ。
1997年、岡山で大学のデザイン学科を卒業してTCDに入社。当時は少なかった「デジタルがわかるデザイナー」として、ハードはアップルのマッキントッシュ、ソフトはアドビのデザインアプリケーションを中心に、会社のデジタル環境の構築を任されてきた。「“モデム”でインターネットに接続していた時代から、パソコンは使っていました」というほどデジタルの経験は長い。
田中さんが個人的に最初に購入したパソコンは、就職した直後に買ったアップルの「Power Macintosh 7600」。90年代中盤、スティーブ・ジョブスが復帰する前の“空白期間”に発売されたMac(当時の名称はMacintosh)だが、7600はDTP(デスクトップパブリッシング)などに使うマシンとしては中堅の能力で、拡張性も高く人気のモデルだった。「ただ、当時はプリンターなど一式で50万円ぐらいはかかりました。高かったですが、仕事の環境としては必要だったので、思い切って買いました」。以来、Macを使い続けている。
パソコン経験が長い田中さんにとっても、ここ4、5年のモバイル回線の高速化とクラウドの進化は目を見張るものがあるという。「作業環境を丸ごとクラウドに置けるようになったので、どこにいても仕事ができるのは非常にありがたい時代です」。
新幹線は電車感覚で使うが
移動中は大事な作業時間
田中さんは関西を中心にデザインディレクターとして働いてきたが、2年前に東京事務所に転勤し、東京エリアの主要メンバーとして活動している。
1つのクライアントの仕事を請け負う場合、兵庫の本社でブランディングや商品デザイン、東京の事務所はおもにWebまわりのデザインワークを担当する分担になっている。大阪を地盤にしてきた会社のため、いまもクライアントは関西圏の企業が多い。そのため、プレゼン、打ち合わせなどで大阪出張は月に2~3度と、かなりの頻度で発生する。「新幹線はしょっちゅう乗るので、ほとんど電車感覚です」。