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DOL特別レポート
2015年6月12日
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伊藤慎介 [株式会社rimOnO(リモノ)代表取締役社長]

メーカーの“囲い込み思想”で
日本のIoTが取り残される
――日の丸IoTの成否(4)

 メーカーを超えて家電同士を連携させる試みは「ホームネットワーク」と呼ばれ、10年以上も前から取り組みが行われている。家電同士を連携する標準についても、1997年に設立された「エコーネットコンソーシアム」という団体が既に策定していた。

 それにもかかわらず、スマートハウスの実証実験をやるとなると家電同士をつなぐ標準が問題になった。なぜならばエコーネットが策定した標準に基づいて「つながる機能」を搭載していた家電がほとんどなかったからだ。

自動車でも生じている「つながらない問題」
メーカーにある根本的な認識違い

 その解決策として、経済産業省ではスマートハウスで使用される機器同士が確実につながるよう「エコーネットライト」という新しい標準の整備を進めた。さらにエコーネットライトがなるべく多くの機器で採用されるよう、機器同士をつなぐ頭脳に相当するHEMS(家庭用エネルギー管理システム)がエコーネットライト規格に準拠していることを、国が補助する上での条件とした。

 機器同士がつながるよう、国が乗り出して半強制的に義務付けざるを得なかったのだ。

 メーカーを超えるとつながらないのは家電や住宅用機器だけではない。

 自動車の位置情報を収集して道路の渋滞状況を把握する「テレマティクス」。この分野でもメーカーごとに異なる標準やシステムが運用されており、メーカーを超えると情報を共有することができない。

 道路の渋滞状況を把握するのであれば、データが多ければ多いほど正確な情報になることは誰が考えても当たり前のことであり、ユーザーの視点から考えると、メーカーを超えてつながらないことはデメリットにしか感じられない。

 家電や自動車の「つながらない」問題が起きるのはなぜか?

 日本のメーカーの多くは、ネットワーク化とは自社製品同士がつながることであり、自社製品を購入した顧客をロックインするためのツールに過ぎないととらえているように感じる。

 しかし、「ネットワーク効果」という言葉があるように、つながる機器が増えるほどより多くのデータが収集でき、ユーザーの便益も高まることは火を見るより明らかだ。

 ネットワーク化あるいはIoT化を「顧客のロックイン」とみなしている時点でガラパゴス化しかねないのだ。

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伊藤慎介 [株式会社rimOnO(リモノ)代表取締役社長]

いとう・しんすけ/株式会社rimOnO(リモノ)代表取締役社長。1973年生まれ。京都大学大学院工学研究科卒業後、1999年に通商産業省(現、経済産業省)に入省。経済産業省では、自動車用蓄電池の技術開発プロジェクト、スマートハウスプロジェクト、スマートコミュニティプロジェクトなどの国家プロジェクトを立ち上げた後、2011~2013年には航空機武器宇宙産業課において航空機産業政策に従事。2014年7月に経済産業省を退官し、超小型電気自動車のベンチャー企業、株式会社rimOnOをznug design根津孝太と共に設立。


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