IT業界でいま電機業界の巨人GEが熱い視線を浴びている。GEが「製造業からサービス業」への変身を果たしつつあるからだ。それを可能とした技術革新が、本稿のテーマであるIoT(Internet of Things:モノのインターネット)だ。いまやIoTは第2の産業革命とも言われる。
そのIoTについて語られるとき、必ずと言っていいほど事例に出されるのがGEの「インダストリアル・インターネット」だが、それはなぜか。同システムを開発したGEソフトウェアのバイスプレジデント、ビル・ルーのコメントを紹介しながら、「インダストリアル・インターネット」の中身と、それがもたらす価値について探っていく。(ダイヤモンド・オンライン編集部 片田江康男)
インダストリアル・インターネットの
中核にある仕組みこそIoT
今、GEの「インダストリアル・インターネット」が、IT業界のコンサルタントやIoTの動向をウォッチしているアナリスト、GEと同じような製造業界から、熱い視線を浴びている。
ダイヤモンド・オンライン10月10日掲載のインタビュー記事、「IoTが普及していく条件は整った 事業創造へCIOの気概が問われている――城田真琴・野村総合研究所上席研究員」でも、GEについて触れている。
インダストリアル・インターネットとは同社が製造し、顧客へ納品した産業機械などのハードウェアを、センサーによってネットワークにつなげ、それによって得られる膨大なデータを分析し、顧客へのサービスに活かす基本思想だ。
GEソフトウェア バイス・プレジデント、グローバルソフトウェアセンター。GEソフトウェアにてサービスとソリューションのポートフォリオ戦略および製品開発を統括。「インダストリアル・インターネット」を実現するソフトウェアを開発している。企業向けの統合型アプリケーション開発など、25年以上の経験を有する。GE入社前はシスコシステムズでバイス・プレジデント、コンセプトファイブテクノロジーズ社でシニア・バイス・プレジデントとCTOなどを歴任。カリフォルニア州立大学にてコンピュータサイエンスの修士号を取得。
Photo by Naoyoshi Goto
注目される理由は、インダストリアル・インターネットは今年のバズワードであるIoT(Internet of Things:モノのインターネット)の活用を中心に据えており、GEがインダストリアル・インターネットを実現させるために巨額の投資をしているからだ。また同社が、多くの製造業が悩む「製造業のサービス業化」について、いち早く方向性を定め、サービス業化への変身を遂げつつあるからという理由もあるだろう。
IoTとは、パソコンやスマートフォン、タブレットだけでなく、身の回りのあらゆるモノに埋め込まれたセンサーがインターネットに繋がり、相互で通信が可能になる技術や仕組み、状態のこと。これと似たような言葉としてM2M(Machine to Machine:機器同士の相互通信)という言葉もある。