北海道洞爺湖サミットが閉幕した。
議長の福田首相は記者会見に臨み、G8の代表として「首脳宣言」を発表した。午後、プレスルームでの記者会見に出席した筆者にも、福田首相の意気込みは十分に伝わった。
「洞爺湖での3日間、昼夜を違わず時に首脳同士で激しくやり合いながら、多くの成果を得ました」
こう自画自賛して始まった福田首相の会見は、珍しく自信に満ちたものになった。自らの議長総括ぶりを誇るばかりか、来年のサミットでもイニシアティヴを発揮するような発言すら飛び出したのだ。
「主要経済国の首脳が気候変動の枠組みについてこれほどまでに熱心に議論したのは史上初めてのこと。私は議長として、来年のイタリアサミットの機会に再び、MEM(手法排出国会合)を開くことでこれら首脳の賛同を得ました。これはイタリアのベルルスコーニ大統領からも賛同を得ました」
なんといっても、環境問題におけるこの「長期目標」の達成ほど、福田首相を喜ばせたことはないだろう。
基準年が曖昧な「半減」は
本当の「合意」なのか
それも無理はない。なにしろ、前日の首相会見を受けて、NHKなど日本のメディアの一部は「2050年までの温室効果ガス半減でG8が『合意』」と、政府の意のままに報じている。大体サミット最終日は、参加国首脳が会議の「成果」について、自画自賛するのは恒例行事となっている。真に受けた日本の記者たちの記事が、首相にまで伝染しただけの話なのである。
だが、よほど嬉しかったのだろう。福田首相は、本日(7月9日)の会見でも、時間の大半を「合意」の解説に費やしている。しかも、珍しくほとんど噛むこともなく、堂々とした態度で語りきった、少なくとも筆者にはそう見えた。
「我々は、2050年までに世界全体の排出量の少なくとも50%の削減を達成する目標というビジョンを、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)のすべての締約国と共有し、かつ、この目標をUNFCCCの下での交渉において、これら諸国と共に検討し、採択することを求める」(議長総括)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/kinkyu/2/20080709_144046.html
だが、これは果たして本当に「合意」なのだろうか?