市場や世界経済への影響は
「どう転んでも限定的」か

 問題は、各シナリオにおける、株式・為替・債券等の各市場や世界経済への影響だ。

 実は現状では、どう転んでも影響は限定的、というのが多くの専門家の見方だ。

 国民投票でギリシャ国民が、遅ればせながら財政再建策の受け入れ姿勢を示し、支援協議が再開されれば、マーケットの混乱は収まり、ユーロ安(円高)や世界的な株安の動きも反転することになるだろう。現状ではこれがメインシナリオでもある。ギリシャの国民や政権が要求を拒み続けても、ますます自らを苦境に追い込むだけだからだ。

 国民投票の結果が「Yes」でも、「ドイツなどがさらに厳しい条件を突きつけ、ギリシャとの交渉がまたも噛み合わなくなる可能性」(岸田シニアエコノミスト)はあり、今しばらくは不透明な情勢が続くのは必至だ。だが、2012年の欧州債務危機時と異なり、現在はユーロ圏の危機対応のシステムが整っている。イタリア、スペイン等の他国へ危機が波及して深刻化する可能性は低い。

 民間の債権債務関係もかなり整理済みで、ギリシャに対する債権者はユーロ圏の各国政府を中心とした公的機関であるため、金融システムへの波及の懸念も今のところ小さい。これらから、「市場のリスクオフは今週がピーク」(丸山シニアエコノミスト)との見解も少なくない。

 仮に国民投票結果が「No」となっても、“お荷物が片付く”と見なされ、「むしろユーロは買われるのではないか」(村田通貨ストラテジスト)という見方もある。

 ただし、ギリシャのユーロ離脱というシナリオを市場が十分に織り込んでいるかと言えば、疑問も残る。そもそもユーロ圏からの離脱は想定されておらず、規定がないため、仮にそうなれば欧州は“未体験ゾーン”に突入することになる。そのとき、市場がどう反応するかは、読み切れない面がある。

「ギリシャのユーロ離脱は確率としては低いが、もしそうなれば何が起きるかは分からない」(中空チーフクレジットアナリスト)。楽観して良い、と言うには、まだ時期尚早だ。

(ダイヤモンド・オンライン編集部 河野拓郎)