Photo by Noriko Takiguchi
IoTと言えば、とかく家や工場などで役に立つ技術と思われがちだが、「移動中」のものも、インターネットにつなげてそのデータを取得することが有益だというケースが、フェデックスの「センスアウェア(SenseAware)」だ。
センスアウェアは、フェデックスが2009年に発表、実際の商用サービスは2012年から開始したもの。荷物のパッケージをインターネットに接続させて、常時その状態をモニターすることができる。
モニターするためには、パッケージの中にセンスアウェアの機器を入れる。これは10センチ四方ほどの四角く平たいデバイスで、ここにGPS受信機や各種センサーが搭載されているのである。これによってわかるのは、「現在位置」「温度」「光への露出」「湿度」「圧力」などである。
配送ルートを外れれば
スマホにアラートが届く
たとえば、現在位置ならば、ほぼリアルタイムで今どこにそのパッケージがあるかがわかる。今でもフェデックスをはじめとした配送業者はトラッキングサービスを行い、どこに荷物があるのかを確かめられるようにしている。だが、このトラッキングは配送のプロセスの中で要所に到着、出発した際に登録されているデータに過ぎない。
一方、センスアウェアの場合、インターネットでアクセスできるのはパッケージそのものの位置だ。飛行機に乗っている間もトラックで運ばれている間も、その位置が正確にわかる。その上、予定のルートから離れることがあったりすれば、ユーザーにアラートが届く仕組みがある。商品が間違った場所へ運ばれたり、あるいは盗まれたりすれば、すぐに事態が把握できるのだ。
このルートは、ジオ・ルートという設定であらかじめ指定することができ、またジオ・フェンスという設定ではある地域を指定し、その範囲を超えるようなことがあれば、やはりアラームが発信されるしくみだ。配送中に商品がなくなるというケースはよくあるのだが、このセンスアウェアを入れていれば、それを未然に防いだり、すぐに対処したりできる。