「共産党あっての新中国」
94年目の設立記念日に思うこと
2015年7月1日、中国共産党は94回目の設立記念日を迎えた。
中国共産党が設立されたのは、1921年7月1日。中華人民共和国(新中国)が設立されたのが1949年10月1日。共産党が新中国よりも28年3ヵ月早く設立されている。国ができる以前から党があったということだ。
この事実が意味するところは小さくない。
中国共産党の指導者たちは、自らと国との関係を、次のようなロジックで説明してきた。
「共産党は“抗日戦争”によって日本軍国主義を打倒し、その後の内戦で国民党に勝利し、新中国を建設した」
共産党あっての新中国であり、前者がなければ後者は生まれなかった、という認識であり、宣伝である。中国では、党が国家の上にかぶさる存在であり、政府も、憲法も、軍隊も、社会も、人民も、すべての組織やプレーヤーが党の支配下にあり、何者も“党による領導”を凌駕できないという指摘がしばしばなされる。中国共産党もそう考えているし、外部のウォッチャーたちもそう思っている。
それもこれも、すべては「共産党あっての新中国」に帰結する。ということは、私たちがいわゆる中国問題や中国情勢を分析するためには、まずは中国共産党を知るための継続的努力をしなければならないということだ。共産党の理解なくして中国の理解なし、である。
そして、本連載に関して言えば、中国民主化研究とは中国共産党研究である。
本稿ではまず、共産党設立94周年を機に、現在共産党という政党がどのような構成・状況にあるのかを、統計データで示してみたい。次に94周年の記念日に、中国国内の政治状況がどのような状況にあったのかをレビューする。最後に、そのレビューをもって、習近平による共産党政治の“現在地”を浮かび上がらせる。
94周年の記念日前夜、中国共産党中央委員会直属で、党幹部の人事を担当する中央組織部が発表した統計によれば、2014年末の時点で、中国共産党員は8779.3万人いる。2013年度末に比べて、110.7万人増えた(+1.3%)。
女性と少数民族の割合はそれぞれ24.7%、6.9%であり、“大専”と呼ばれる専門学校以上の学歴を持つ党員は全体の43.0%を占める。