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IT&ビジネス 業界ウォッチ
【第92回】 2015年7月13日
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佐々木裕彦 [ネットイヤーグループ取締役 オムニチャネルクラウド事業部長]

企業のメッセージが消費者にまったく届かない時代
「デジタルマーケティング」で何ができるのか

――特別寄稿 セールスフォース・ドットコム「コネクションズ2015」報告

オンライン売上大幅アップ
投資対効果は驚異の2800%

 Room & Boardはミネアポリスを拠点とし、こだわりのハンドメイド家具を製造、販売している。家具は買い替え期間が長いため、顧客と常に接点がもてるオンラインストアの役割は大きい。

 店頭で培った顧客一人ひとりに合わせた接客ノウハウをオンラインストアでも再現できるように、Salesforce Marketing Cloudを導入した。「今や、スタッフ同然のお勧めができている」とマーケティング責任者が笑顔で語っていたのが印象的だった。

 一人ひとりに合わせた情報提供を行うことでオンラインストアの平均注文額は40%アップ、投資利益率は2800%という驚異的な成果が出た。一方で「結果が出たのはもちろんうれしいが、顧客に喜んでいただけたのが何よりも大切だ」と語っており、顧客を中心に考えることの重要性を改めて強調していた。

 実店舗とオンラインストアのデータをつなぎ、行動履歴をもとにパーソナライズしたメールを毎週月曜に配信。その量は毎月20万通にも上る。例えば、購入したソファーの色や用途、形から顧客の好みをSalesforce Marketing Cloudが自動で分析、部屋全体のインテリアに「足りないのでは?」と想定される商品をウェブサイトやメールで提案する(写真3)。リビングに置く長ソファーを買った人には1人掛けのソファーを、ガーデンソファーを買った人には日よけ用のパラソルが紹介される(写真4)。顧客の反応をみて次にどんな内容を出すべきか自動で学習していく。

【写真3】Room & Board オンラインストアの管理画面。緑色部分は、ある顧客の好みをカテゴリ別で予測したもの
【写真4】利用シーンを予測し、顧客ごとに案内を最適化

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佐々木裕彦 [ネットイヤーグループ取締役 オムニチャネルクラウド事業部長]

ネットイヤーグループの創業メンバー。近年、大手小売グループのオムニチャネルプロジェクトに参画して以来、企業戦略としてのオムニチャネルの構想策定から実現までに注力。創業からSIPS(Strategic Internet Professional Services)という戦略的にインターネットを活用するためのコンサルティング事業のコンセプトを生み出す。1994年に米国大手広告代理店McCann Erickson社のインタラクティブ部門に参画して以来、デジタルマーケティング、ネットビジネス分野での経験は長い。経営戦略、ブランディング、ユーザーエクスペリエンスデザイン、CRM、Web、ソーシャル、EC、テクノロジー、データ分析まで、デジタルマーケティングに必要な広範囲なナレッジを持ち、多くの大手企業のデジタルマーケティング戦略、Web戦略、デジタル新規事業開発などを支援する。日経BPなどへの寄稿、セミナー実績多数。ニューヨーク市立大学MBA修了。学習院大学法学部卒業。投稿記事「オムニチャネルの世界」


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