森川陽太郎（もりかわ・ようたろう）
ＯＫラインメンタルトレーナー。1981年東京生まれ。元サッカー選手。スペインやイタリアでプレー。5度の手術と5年にわたるリハビリの末26歳で引退。その後、心理学やメンタルトレーニングを学び27歳で株式会社リコレクトを設立。「ＯＫラインメンタルトレーニング」という独自のトレーニング方法で、プロゴルファー横峯さくらをはじめとするトップアスリートや企業向けに、「結果を出す」ためのメンタルサポートサービスを展開。
著書には『絶対的な自信をつくる方法―「ＯＫライン」で弱い自分のまま強くなる』『本番で実力が出せない人のための「いつもの自分」トレーニング―簡単！直前！“勝負弱さ”を克服する50の方法』（ともにダイヤモンド社）、『ネガティブシンキングだからうまくいく35の法則』（かんき出版）がある。
リコレクトＨＰ
http://www.recollect.co.jp/
（撮影／佐久間ナオヒト）

まず「今の仕事はできない」
という自分を受け入れる

  大事なのは、まず「以前の仕事はともかく、この仕事はできない」というありのままの現実を受け入れられることです。

  今の自分を受け入れるということは、失敗を失敗と認識して受け入れること。環境のせいや周囲の人のせいにせずに、自分の失敗として正面から向き合うということです。

  失敗を回避したり目を背けたりしていると、いつまでたってもその失敗は失敗のまま。自分にとってマイナスの経験にしかなりません。

  しかし考え方を変えてみましょう。

  失敗を受け入れ、直視すれば、そこから何かしら学ぶことがあるはずです。なぜ失敗したのか、成功するためには何が足りなかったのか。自分は何をすべきだったのか。失敗しなければ気づかなかったことも多いでしょう。

  それって実は、とても大きな“経験値”なのです。

  失敗は、それを受け入れることで、失敗したという事実も含めたトータルでの経験値へと変化するんです。

  アメリカに渡った当初の横峯さくら選手は、厳しいコースコンディションにも戸惑っていました。例えば強く吹く風。アメリカでは、日本では経験したことがないような強風が吹くコースでプレーすることも少なくありません。

  渡米直後、思うような結果が出せなかった頃の彼女は、そうした環境の変化への戸惑いから、ミスショットをしたとき「今のは風が――」と口にすることがありました。

  でも今では違います。彼女自身、「風が強いとミスが出るのなら、それが今の私の実力」と受け入れられるようになり、ミスが出てもそれを次にどうつなげるかに集中できるようになりました。