もっとキャリアを柔軟に考えよう

 キャリアブレイクの具体的な内容として、育児や出産を理由とする離職の場合は、育児そのもの、あるいはPTAへの参加が「異なる経験」の例になります。最近では、育児と同時にプロボノに参加する例も増えています。

 また、その他の理由により離職の場合でも、近所や地域でのさまざまなコミュニティ、IT関係のスキルを学ぶことができるコミュニティへの参加などの経験をする方が多くいらっしゃいます。

 従来の日本の雇用の考え方に基づけば、とにかく同一の組織だけで評価されることに個人の関心が集中してしまう傾向が否定できません。そのような状態では、自分の属する組織に役立つこと以外は、無駄なことと考えてしまうでしょう。

 キャリアブレイクは、そんな状態に陥ってしまった自分をいったん括弧に入れて、遠くの視点から自分を見つめ直すことを可能にします。自分を外の視点から見つめ直せば、自分の関心が属する組織だけに向いていることへの疑問や問題意識が生じてくることになるでしょう。

 もちろんキャリアブレイクを経験しなくても、自分の関心を見つめ直すことはできます。本業が忙しいなかでも、ふと立ち止まって自分の関心の行き先を見つめ直す。それができれば、早い段階でのパラレルキャリアの実践につながり、ひいては元気なシニアへの道を切り拓くことにつながるかもしれません。