シニアが、パラレルキャリアを実践するコツ
別所氏は、定年後に新たに本業とNPOを始めることができました。本業とNPOの相互に関連があり、その両方に人生の意味を見出しています。この両方の活動は、社会と地域に関わることでもあります。
まさに別所氏は、社会と地域から自分が必要とされていることを実感しているわけで、それが生きがい、やりがいにつながり、元気に活躍されているわけです。
別所氏のように、定年後、一念発起してパラレルキャリアを始めることは可能です。パラレルキャリアを始めるのに遅すぎるということはありません。まずメールを送ってみる、というような小さな一歩に踏み出す勇気があれば、誰でも始めることができるでしょう。
また、パラレルキャリアを始めるのに早すぎることもありません。もっと早い段階で社会と地域に関わりを持てば、その分、楽しくやりがいのある時間を長く持てることになると言えるでしょう。
キャリアブランクではなく、キャリアブレイク
とはいえ、社会や地域と関わりを持つために具体的な行動を起こすことは簡単ではないかもしれません。まずは自分の現状を見つめ直し、問題意識を持つことが必要かもしれません。そんな時に参考になる考え方のひとつがキャリアブレイクです。
従来型の日本の雇用の考え方では、長期間にわたり同一の組織で継続就業し、評価されることが重要だと考えられてきました。こうした価値観がいきすぎると、本業だけが重視され、社会や地域への関心は少なくなってしまいます。
また、とにかく継続就業が大事だと思えば、離職期間があると、何か特別なことだと考えてしまいます。しかし離職期間を「ブランク」ととらえることは一面的な見方であり、むしろ「異なる経験をした」期間として積極的にとらえるべきではないでしょうか。そう考えれば、離職期間はキャリアブランクではなく、キャリアブレイクと呼ぶことが相応しいでしょう。
実際、離職期間中に自らの意思で小さな一歩を踏み出し、自分のキャリアを後押ししてくれる場、社会や地域のコミュニティに参加するようになるという事例に焦点をあてた研究がいくつか出てきています。コミュニティでの経験は、自分を成長させ、次のキャリアにつながっていくのです。