2005年に刊行されたロングセラー手帳『和田裕美の営業手帳』も今年で11年目を迎えました。長きに亘り、「戦う営業マン」の必須アイテムとして多くの人に愛されてきた『営業手帳』には、高い成約率を維持しつづける仕掛けがありました。今回は、シリーズ累計79万部を突破した『伝え方が9割』の著者佐々木圭一さんとの対談をお届けします。前編は、営業にまつわるお話から。(取材・構成/両角晴香 撮影/宇佐見利明)

打てて当たり前と思ってバッターボックスに立つ

佐々木圭一(ささき・けいいち)
上智大学大学院を卒業後、博報堂を経て、株式会社ウゴカスを設立。新入社員時代、もともと伝えることが得意でなかったにもかかわらず、コピーライターとして配属され苦しむ。ストレスから1年で体重が15%増、アゴも無くなる。あるとき、伝え方には技術があることを発見。そこから伝え方だけでなく、人生ががらりと変わる。初めての著書『伝え方が9割』は、68万部のベストセラーとなり(シリーズ累計79万部突破)、2013年ビジネス書年間ランキング1位(紀伊國屋書店新宿本店調べ)、年間ベストセラー単行本2位(2013年ビジネス書部門/日販・トーハン調べ)となる。カンヌ国際広告祭でゴールド賞を含む、3年連続受賞。米国の広告賞One ShowDesignで日本人初ゴールド賞受賞。AdFestでゴールド賞受賞。AIMアワードでグランプリ受賞。トリンプ「天使のブラ」、コーセー「FASIO」などヒットCMを数々制作。郷ひろみ・Chemistryなどの作詞家として、アルバム・オリコン1位を2度獲得。トヨタ自動車、楽天、大塚商会、東武鉄道、ユー・エス・ジェイ、小林製薬、プルデンシャル生命、ソニー生命保険、東京大学、上智大学などで150回以上の「伝え方が9割・講演」を行う。メディア出演は、NHK「ゆうどき」、日本テレビ「世界一受けたい授業」、テレビ朝日「お願い!ランキング」、フジテレビ「ネプリーグ」、TBS「ひるおび!」、テレビ東京「FOOT×BRAIN」、BS朝日「ポップメイカー」にてMC、「an・an」連載など多数。「日本のコミュニケーション能力のベースアップ」のために、精力的に活動している。

佐々木 たぶん読者のみなさんも気になっていると思うんですけど、和田さんの『成約率98%の秘訣』の98%って、リアルな数字なのですか?

和田 そうです、リアルです。かつて外資系教育会社で営業をしていたときに世界142カ国中のNO.2になりまして。その年を振り返ると年間の成約率が98%でした。

佐々木 50人に話して1人しか断らなかったということですか。それはもう……奇跡に近いですね。

和田 当時は「バケモノ」なんて言われていましたから(笑)。その頃の私は、結果が出ない方がおかしいと本気で信じていたのです。1週間会社に来て、ちゃんとした商品もあるのに、どうして結果が出ないのですか? 仕事してますか? みたいな。まだ20代でとんがっていたせいか、すごい上から目線ですけど、打てて当たり前と思ってバッターボックスに立っていたのですね。気持ちが前のめりになっていたので、私に会うとお客様は必ず契約書を書いてくださるのが当たり前になっていましたね。錦織圭さんでいう“ゾーン”に入っていたような感覚でしょうか。

佐々木 それはすごい。

和田 なんだか怖いでしょう? こんなこと言ったら、みなさん私に会いたくなくなりますよね(笑)。

佐々木 いやいや(笑)。読んでいて、楽しかったですよ。具体的なクロージングの方法が書かれているし、商談中のトーク内容がそのまま「会話」で表現されているので、「あ、なるほど」と思いながら拝見しました。

和田 そう言っていただけると嬉しいです。この本は「実践的なことを全出しする」のが目標でしたので。