そしてバブルの崩壊と共に時代は自分探しという、アンチ・前のめりな時代に入っていくわけだが、どうもここ1~2年ほど、前のめりが復活してきたように感じるのだ。

ついには歌のタイトルにまで。
「前のめり」がブームに?

 きっかけはシシド・カフカだった。彼女は2013年4月から2014年3月まで、『オールナイト・ニッポンZERO』のパーソナリティーを担当していたが、たぶん2014年の1月頃だったと記憶しているが、番組のなかで「先日、バンドの仲間と居酒屋で飲みながら、音楽のことについて、かなり前のめりな感じで議論した」みたいな内容のことを話していた。この時の彼女の、前のめりという言葉の使い方が妙に印象的だったのだが、そのときは、これはシシド・カフカというアーティストのキャラクターにピッタリだし、彼女独特の言語感覚で使っているのかなと思っていた。

 ところがその後、一般女性とのメッセージのやりとりでこの言葉が使われていたり、女性向けウェブマガジンの記事のなかで使われたりしていて、どうもこの言葉が「来ている」という感覚を持つようになった。

 それで周囲の若者や女性たち、FB友達などにリサーチしてみたのだが、日常生活でこの言葉はまったく使わない、聞かないという人がいる一方で、少し前から使うようになったという声も聞こえた。某大企業では部署全体で日常的に使っているとか、ベンチャー企業ではよく聞くという情報も頂戴した。

 つまり、この言葉は一般的に流行っているわけではないが、局所的に、同時多発的に流行っているとも言える。これは、「ブームになるかもしれない」「前のめりが流行語になるかもしれない」という兆候だ。

 と、そんなことを感じていたところに、SKE48の8月12日発売予定の新曲タイトルがズバリ『前のめり』である。

AKBグループに感じる「変質」

 当連載の読者にはご存じのように、僕はどちらかというとAKBグループに対しては否定的だった。以前にもPerfumeとAKB48を対比させた記事を書いた。Perfumeを持ち上げた内容だったので、当然のことだがAKBファンには評判が悪かったのだが、このAKBグループに関しては、最近ちょっとした変質を感じている。