確かに現地で長く生活されていて、海外進出の知識・経験も豊富で信頼できるコンサルタントの方もいらっしゃいます。ただ、そのような方は海外進出の要望が増えている昨今、非常に多忙なはずです。優先度がより高い契約中の顧客を多数抱えている中、現地視察を開始したフェーズの企業に対し、簡単な相談には乗ってくれるかもしれませんが、「何なりと相談を」とは言わないでしょう。

 そのような方と出会った場合には、JETROや対象国のコンサルテーションを得意としている企業複数社に評判を聞いてみるといいでしょう。また、海外では現地駐在者が集まっている、現地会のようなものがあるので、視察の際に食事会やイベントなどに参加させてもらって、評判を聞くのも一つの手だと思います。今はSNSでも様々な人と繋がれるため、対象国に住んでいる人にメッセージを送ってみるのもいいかもしれません。

 くれぐれも、海外進出における重要なパートナー選定であると認識し、ここでラクをしないようにしなければなりません。

「撤退ライン」が決まってない!
そんな会社は勝負所も逃す

 先日、中小企業庁が発表したデータ「中小企業の海外事業再編事例集」の中にも、実に9割の企業が海外進出からの撤退ラインを決めていないとありました。私も感覚的にかなり多いと感じてはいましたが、まさか9割とは驚きました。

 さて、なぜこのようなことになるのでしょうか。多くの企業では予算計画を作るとき、業績が伸びていく場合の計画は作るのですが、失敗した場合の計画は想定していないことがほとんどです。成功しか見えていないのかもしれませんが、大きな理由の一つとしては、やったことがないから、失敗なのかどうかすら分からないのです。

 イメージとしては、「今まで歩んだことのない場所を、漠然とゴールの方向だけを決めて、地図も持たずに、コンパスだけを頼りに進んでいる。だが、この先、山があるのか谷があるのかも分からないため、取り敢えず体力を使い進んではいるが、正直自分が何処にいて、あとどれくらいで着くのか分からない」という感じでしょうか。

 撤退ラインが決まっていないと、どこまで攻め込んでいいのかも分からないため、逆に勝負所を逃してしまったりもします。そもそも現場が撤退ラインを把握できていないため、不安を抱えたまま進んで行ってしまいます。可能な限り現地の信頼できるパートナーや、実績のある国内企業を案内役とすることが理想です。少なくとも成功・失敗のランクとラインを事前にきちんと決め、それぞれの分岐点で、都度、方向やスピード、到達地点、残りの体力などを確認する必要があります。