中国と米欧の変調が重なり
政策対応もできないという最悪のリスク

 もう一つの理由は米国の金融政策だ。同国の金融政策が緩和から引き締めに転換されたことは、“10年周期説”における株価急落のきっかけの一つになった。

 基軸通貨であるドルを司る米FRBの金融政策が、お金を潤沢に供給する緩和基調から、金利を引き上げ、市中に出回っているお金の一部を吸収する引き締めに転換することは、米国のみならず、世界の金融市場に大きな変化をもたらす。

 米国の金利が上昇することによって、同国の株式市場から投資資金が流出し、市場が不安定化することが懸念される。また、新興国の金融市場に回っていた資金は、米国に回帰する=リパトリエーションの可能性が高まる。それが実現されると、新興国の株式市場が不安定な展開になりやすくなる。

 今回の世界同時株安の前まで、FRBは9月に金利の引き上げを実施するとの見方が有力だった。仮に今年中にFRBが金利引き上げを実施すると、かつて10年毎に発生した株価急落の引き金になることも懸念される。

 重要なポイントは、今後数年の間に、“チャイナリスク”が顕在化し、それに米国やユーロ圏経済の落ち込みが重なると、そのインパクトはかなり大きくなる可能性が高いことだ。市場関係者の一部には、「中国・欧米の経済が一度に下落すると、世界恐慌のような最悪のシナリオの可能性も否定できない」との悲観的な見方もある。

 2008年のリーマンショックの時には、世界的な不動産バブルの後だったこともあり、多くの主要国経済はそれなりにパワーが残っていた。金融・財政政策にも一定の発動余地があった。

 ところが足元の状況を見ると、わが国や欧米諸国に関しては、金融・財政政策にほとんどのりしろが残っていない。言ってみれば、主要国の政策当局は、政策発動の余地が限られた、ほとんど丸腰の状態で景気の落ち込みに対峙しなければならない。それは容易なことではない。

 残念だが、その最悪のリスクシナリオが実現する可能性を完全に払拭することはできない。