成約率98%のベースであり営業が結果を出すために考案された『和田裕美の営業手帳』、生活と仕事を充実させながら人生の質の向上を目指す『陰山手帳』、2016年版もこれら2点の手帳がさらに進化して登場。長い年月をかけて手帳を進化させてきた著者二人が、多忙を極めるビジネスパーソンを危惧し、「今だからこそ手帳を活用すべき」と語ります。(取材・構成/両角晴香 撮影/宇佐見利明)

「予定を入れない」
という予定を入れる

陰山 和田さんは手帳を買ったら、最初に何を書き込みますか?

和田 1年のなかで絶対に忘れたくない記念日ですね。友達の誕生日とか、大切な記念日とか。これから起こるワクワクを最初に書きます。

陰山 なるほどね。結構近いけど、僕は少しだけ違うかな。『陰山手帳』は、休みの日から書き入れるようおすすめしています。

和田 へえ、その発想はなかったかも。なぜですか?

陰山 手帳はスケジュールを管理するものなので基本的には仕事のツールです。楽しいことから書き込まずに、いきなりビジネス案件を書き込んじゃうと、生活が仕事中心になってしまうのですよ。

和田 あーわかります。手帳を見るのがブルーになる感じですね。

和田裕美(わだ・ひろみ)
京都府生まれ。作家、営業コンサルタント。人材育成会社「和田裕美事務所」代表。小学生のときから通知表に「もっと積極的にお友だちとお話ししましょう」と書かれ続けたほど引っ込み思案な性格にもかかわらず、上京後は外資系企業の営業職に就く。当初はおどおどして相手の目を見て会話することもままならず、長い間つらく厳しい下積み時代が続いたが、独自の「ファン作り」営業スタイルを構築し、試行錯誤を重ね、徐々にプレゼンしたお客様の98%から契約をもらうまでになる。それによって日本でトップ、世界142ヵ国中2位の成績を収めた。執筆活動の他、営業・コミュニケーション・モチベーションアップのための講演、セミナーを国内外で展開している。女性ビジネス書の先駆けとして大きな反響を呼んだ『世界No.2セールスウーマンの「売れる営業」に変わる本』(ダイヤモンド社)ほか、『人生を好転させる「新・陽転思考」』(ポプラ社)、『和田裕美の人に好かれる話し方』(大和書房)など著書多数。最新著作は『成約率98%の秘訣』(かんき出版)。

陰山 これまで、仕事一途になりすぎて最終的に身体を壊してしまう人を何人もみてきました。これは僕の欠点でもあるかもしれないけど、どんな大事なことでも自分の身体を壊すことであれば辞めます。

和田 私も賛成です!

陰山 それで恨まれようが何しようが仕方がないじゃんって。校長をやっていたときも先生方職員にあれこれ指示はするのだけど、最後に「身体を壊すと思ったらやめてくれ」ってことだけは伝えていました。

和田 わかります。私は土日休みではないので、やろうと思えばすべて仕事で埋めてしまうこともできるわけです。実際8月は一日も休めなかった。それって実は危険なことだなと思うことがあります。

陰山 調子がいいときはいいのだけど、ちょっと疲れたなと思ったときにあと一週間働かなきゃ行けないと思うとブルーになるでしょ。

和田 なる! どうやったら休めるかとか、さぼることばっかり考えちゃう(笑)。

陰山 でしょ? そうなるくらいだったら、最初からここで休もうというのを決めちゃおうという提案です。