土日は携帯電話をオフにする

和田 「絶対休養日」の日は何をされますか?

陰山  寝ます(笑)。昼まで寝て琵琶湖の湖畔で家族と飯食べるとかね。

和田 パソコンを開くとか、読書は?

陰山 しないしない。

和田 本当にゆっくりしているのですね(笑)。情報のインプットはしないということですか?

陰山 だって情報を入れるのが苦痛だから休んでるんですよ。

和田 多くのビジネスマンは、休みというスキマ時間を使って情報を入れていると思いますよ。普段見られないDVDを見たり、本を読んだりね。特にスマホを持つようになってからは、ついメールチェックしちゃったり……。

陰山 家族と一緒にいるときは、なるべくスマホを見ないようにしています。

和田 持ち歩かないわけではないですよね?

陰山 一応携帯しているけど、電源をオフにするときもあります。

和田 「スマ断」と呼ばれるやつですね。スマホ中毒になっている人は見ないとイライラするみたいです。そういう人が電源をオフにするのは最初はストレスがかかるものですか?

陰山 いえ、電源を切ると自分で決めてオフにしている場合は、決断できているのでそうでもないのですよ。切るという行為が治療薬なのです。フィンランドでは、小学生に携帯を持たせますが、学校で朝の挨拶を済ませると、「携帯を出しましょう。さあ電源をオフに」というのをルールにしているそうです。

和田 へえ、そうなんだ。

陰山 僕もオフにするか、ほとんどマナーモードにしているかだから、電話に出ないことが多いですね。

和田 取材中や会議中など、物理的に出られないことも多いですよね。

陰山 ただ、ビジネスマンにおいてはまったく別の意見もあるようなんです。最近「できる男は5コール以内に携帯に出る」などと書かれたビジネス本を読んだのですが、なるほどと思うことがありました。

和田 えー、でもどうやって? 電車で携帯が鳴ったらわざわざ下車して出るとか?

陰山 いえ、そもそも一流の人は仕事の質が違うのです。

和田 ああ、なるほど。移動手段は車だし、会議中に社長が電話に出ても誰も怒りませんよね。

陰山 そうそう。そういう人には、かける方もくだらない内容では電話などかけてこないということです。重要度が高いから電話するわけですよね。

和田 そうか、重要とはじめからわかっているなら即出ます。

陰山 即断即決で話を返せると向こうもわかっているから気にせず電話をする。ただその代わりに土日は家族や自分のために必ず携帯を切るといわれています。

和田 カルロス・ゴーンさんとか、実行してそうですよね。

陰山自分のペースやパフォーマンスをどうしたら大切にできるのかというのを自分主導でやらないといけないですよね。最初に休日を書き込むというのは、自分で休養日を選ぶということじゃないですか。この土日は絶対に休む、(できれば)携帯電話を切る。事前に周囲にアナウンスしておけば何の問題もないはずです。

和田 それくらい自己管理をしていないと流されちゃうかもしれないですね。イヤといえなくて、休みもなくて、夜も遅くなってとなると、やらされ感が満載になります。

陰山 だからね、日本の学校教育にありがちな「みんなと仲良くしましょう」とか、できるわけないだろ! って思いますよね。

和田 ははは! 仕事上でもみんなと仲良くしてどんなに知り合いが増えても全員と食事に出かけることはできないし。

陰山 そんなこと毎日してたら死にますよ(笑)。

和田 でも人脈術の本とか読むと、みんなめちゃくちゃ会食しています(笑)。SNSを見ても、みんな誰かとご飯食べていて、それも「みんな仲良く」の教育の結果ではないですか?

陰山 その通り。だから、誰と付き合うかもちゃんと選ばないと、ということですね。