内定時期は「最後の学生生活」?
それとも「社会人直前期間」?

 今年の10月からの内定時期は、学生から見て2つの側面があります。

 まず、(標準では)「小学校から16年間に及ぶ教室生活の最後の6ヵ月」であるということ、そして「社会に出る直前の準備期間としての6ヵ月」であること、の2つです。どちらにどう重きを置くかで、内定時期のデザインは変わってきます。

 採用面接の折、多くの学生が「もしも御社に内定をいただけた場合、入社するまでに身につけておいた方がよいことを教えてください」という類の質問をしてきます。

 積極性や志望度の高さをアピールする質問といえますが、内定者面談の際に同じような質問を受けることもあるので、結構、本気で聞きたがっている学生は多いかと思います。

 このように内定期間を社会生活の準備期間と捉える学生は、最近少なくないようです。

 バブル期、採用担当者をしていた頃の私は、内定者教育、内定者の拘束にはかなり否定的でした。

 内定者の囲い込みが加熱しており、10月1日には東京ディズニーランドが内定者だらけになっていたような時期です。

 しかし私は、「二度と戻らない学生生活なのだから、やり残したことをやり尽くして社会に入ってきて欲しい」と思っていました。私自身、幸せな学生生活をまっとうできたからなのかもしれません。

 でも、最近はそうとばかりも言っていられないように感じています。

 内定者のしっかりとしたフォローは必要ですし、内定者教育も重要です。

 私が考えを変えたのは、先にも引用した本連載の第4回で整理したとおり、一昔前と比較して、大学と社会のギャップが拡がったためです。

 このギャップが大きすぎるがゆえに、社会に出た新人は強烈なリアリティ・ショックに見舞われ、不安と自信のなさに押しつぶされてしまう危険性があります。