5年後の業界地図2025-2030 序列・年収・就職・株価…#6Photo:Bloomberg/gettyimages

日経平均株価が4万円を回復したが、出遅れた個人投資家はどうすればいいのか。特集『5年後の業界地図2025-2030 序列・年収・就職・株価…』の#6では、アナリストの業績予想に複数のスクリーニング条件も追加して「5年後の割安株100銘柄」を選抜。増益基調の割安株を中長期で保有して、「実力値」に株価が修正されるのを待つ割安株投資は、短期的な成績を求められない個人投資家向きの投資法だ。相場が楽観に傾きつつある今だからこそ、下値リスクの小さい割安株に注目してみよう。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

相場が楽観に傾いたときこそ
株価の割安度を冷静に確認

 株価の予測は難しい――。6月27日、米国のS&P500種指数とナスダック総合指数が史上最高値を更新した。4月初旬にトランプ関税ショックで急落した局面からは、実に20%以上も急反発している。

 米国株だけではない。日経平均株価も6月27日に4万円台を回復。トランプショック前の株価を上回り、4月上旬の底値からは9000円以上も上昇している。

 この株高を謳歌する投資家がいる一方、「急落時の底値で損切り」をして反発相場に乗れなかった個人投資家は悔しい気持ちでいっぱいだろう。

 だが、これは仕方がない面もある。多くの専門家が「深刻なトランプ不況になる可能性が高い」と警鐘を鳴らしていたからだ。

 日経平均やS&P500の2025年末予測を大きく引き下げたストラテジストも少なくなかった。特に株価が割高水準まで買われているグロース株を持ち続けるのは難しかったはずだ。

 では、これから何を買えばいいのか。すでに半導体関連や生成AI関連は株価が大きく反発している。前述のように相場予測は難しく、楽観から一転して悲観に転じることもある。

 注目したいのが、利益や純資産などと比較して株価が割安な銘柄を狙う割安株(バリュー株)投資である。すでに株価が割安な水準なので、極端な業績悪化がなければ下値リスクは小さい。初心者にも向いている投資法である。

 割安株投資は地味な投資法ではあるが、大きなリターンも期待できる。実際、近年ではメガバンクや建設セクターの割安度が注目され、株価が大きく飛躍した。

 そこで今回は5期先のコンセンサス予想(アナリストの業績予想の平均値)がある約600社を対象に、「5期先利益に対して割安な株」を選んだ。

 割安度を測る代表的な株価指標には、PER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)の二つがある。株価を利益と比較したのがPERで、株価をEPS(1株当たり純利益)で割って算出。一方、株価を保有資産と比較したのがPBRで、株価を1株当たり純資産で割って算出する。共に単位は「倍」で、数字が小さいほど株価が割安だと判断される。

 スクリーニング条件として、5期先の当期利益が今期の当期利益よりも減少する企業は除いている。減益の場合は、PERが低くても、今の株価が必ずしも割安とはいえないからだ。

 ランキングは、株価を5期先のEPSで割って算出した予想PERが低い順に並べた。参考数値として5期先までの当期利益の伸び率と今期予想PER、PBRも付けた。いわば、業績が伸びているにもかかわらず、株価が割安な企業リストである。

 次ページでは5期先の利益に対して割安な株100銘柄を紹介。ランキングに登場する銘柄は「利益の増加」を条件にしているので、攻めにも守りにも強い銘柄候補ともいえる。市場予想通りの展開となれば株価の見直し余地は大きいはずだ。

 44位までの企業の5期先予想PERは7倍未満となった。ランキングには小型株だけでなく、日本を代表する総合商社や総合化学メーカー、旬の業態の勢いのある株ながら5年後予想と比較すると割安だと判断される銘柄も登場するので、ぜひチェックしてほしい。