3月30日に民主党の「デフレから脱却し景気回復を目指す議員連盟」の第1回の会合が行われた。勉強会の講師は、なんと民主党が総裁就任を拒否した武藤前日銀副総裁だったという。会合では、日銀の政策に批判が集まったようだ。
日本の現状がデフレであることと、デフレ対策にあって日銀がもっと手を打つべきだということについては筆者も異論はない。日銀は、あまりに消極的過ぎる。
ただ、日銀の独立性に国会議員から見直しの声が出て、その場にかつての財務次官であった武藤氏がいる構図は、財務省の力の拡大を象徴しているのではないか。
振り返ると、日銀の独立性を強化する日銀法の改正は、一連の過剰接待問題などで旧大蔵省が批判を受けた流れの延長線上にあった。当時、大蔵省の権力が過大であるとされて、同省は財務省と金融庁に分割され、金融政策に関して日銀の地位が強化された。旧大蔵省の権力とイメージは、共にあの頃がボトムであった。
しかし、それで終わらずに、長期的な巻き返しができるところが、官僚組織の強みであり、特に、予算と税金を握る官庁である財務省の力は別格だ。
民主党政権になってから、かつての大物次官であった斎藤次郎氏が日本郵政の社長に就き、2010年度予算はほぼ完全に財務省のペースで進み、最近では、同省の積年の目標である消費税率の引き上げに対する環境を整えつつある。