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“20億ドルの女”ジェシカ・アルバが挑む
ネットビジネスの創意工夫

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第361回】 2015年10月1日
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セールスフォース・ドットコムの年次イベント「ドリームフォース」にも働く女性のリーダーとしてゲスト出演(写真右)。会場は多くのファンで溢れた Photography by Jakub Mosur Photography (写真提供:salesforce.com)

働く女性のリーダーとして
全米で脚光を浴びる

 アルバはまた、ビジネスウーマンとして学習したことを機会あるごとに公表している。去る9月半ばに米サンフランシスコで開催されたセールスフォース・ドットコムの年次イベント「ドリームフォース」に登壇した際にも、そうした発言が目立った。

 たとえば、ビジネスを起こそうとしたら、「ベビー用品などではなくて、香水でしょう」と反対された話。たかが女優に、本格的なビジネスなどできないとみなされたというわけだ。

 また、ベンチャー・キャピタリストから資金を調達するのに、苦労をした話。一度は却下されたが、同じ人物のもとへ18ヵ月後に向かい、再度トライ。その18ヵ月の間はありとあらゆる人々に会って、勉強を重ねたという。

 さらに、時間がないために効率的に働く、子持ちの女性を雇うのが好きだという発言も、なるほどと感じさせる。学位よりも、常識がありコラボレートのできる人、現実世界での経験の豊かな人を雇うという姿勢も、大企業のトップからはあまり聞かない、粋な話かもしれない。

 実際、女優としてかつて持っていたキャラクターとは、かなり違った聡明さが前面に出ていて、アルバはイメージチェンジをしたと世間でも言われている。そうした意外な面も女性の関心を呼び、結果的には売り上げにつながっているのだろう。オーネスト・カンパニーは先頃、製品に化粧品も加えたところだ。

 同社は、オーガニック、オーネスト、社会貢献、等身大のビジネスウーマンと、現代好まれる社会の要素を兼ね備えている。また、最近になって有給の産休を16ヵ月に延長し、ライフ・ワーク・バランスでも得点を得た。

 このように順風満帆に見えるが、ただし落とし穴も待っていた。オーネスト・カンパニーは最近、立て続けに訴訟を起こされているのだ。1つは、日焼け止めクリームが効かず、やけどに近い症状が出たという訴え。もうひとつは、ナチュラルを謳いながら、合成保存料などの材料が含まれていたという訴えだ。

 セレブなビジネスウーマンとして持ち上げられた分だけ、訴訟を伝えるニュースも喧しい。同社にとっては、最初の試練である。

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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

ビジネスモデルの破壊者たち

シュンペーターの創造的破壊を地で行く世界の革新企業の最新動向と未来戦略を、シリコンバレー在住のジャーナリストがつぶさに分析します。

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