さらに、過激な言動が度々問題になる「ネット右翼」について、古谷氏は次のように分析している。

「2002年に開催された日韓共催のワールドカップが嫌韓のきっかけになったという指摘がありますが、“疑惑の判定”などによって、嫌韓ムードがネット上で盛り上がりを見せたのは事実でしょう。そして、彼らは『こんなに問題があるのに、マスコミが報道しないのはおかしい』と考え、フラストレーションの矛先を報道機関に向けました。この流れが、韓国に偏重した番組編成を行っているなどとして実施されたフジテレビ抗議デモへとつながっていきました」(古谷氏)

ネット右翼が陥る
「ヘッドライン寄生」とは?

 ネット右翼に大きな影響を与えたのは、インターネット上の動画生配信サービスだと古谷氏は指摘する。「ネット右翼は読書リテラシーに乏しい人が多いため、動画配信が大きな影響力を持ったのです。また、私は『ヘッドライン寄生』と呼んでいますが、雑誌やインターネット記事の見出しのみで判断して、中身を読まずに自分の都合の良い解釈をする人が多いことも特徴です」(古谷氏)という。

 しかし、ネット右翼を一部の過激な集団として無視していいかと言ったら、そうではない。在日韓国人・朝鮮人に対するヘイトスピーチなどが問題化している「在日特権を許さない市民の会」(在特会)は、インターネットを駆使して、活動の幅を広げていったとされている。

 ネット右翼が形成する“ネット世論”は、一定の影響力を持っており、デモや企業への不買運動に発展するケースがある。こうした現状に、政治家や企業の経営者も彼らの影響力を無視できなくなってきたという指摘もある。

 ただし、古谷氏は「ネット右翼の影響力は限定的」だと分析している。

「自民党よりもさらに右寄りな主張を展開した次世代の党は、インターネットに票田があると読んでネット上の活動を活発にしていました。しかし、結果は先の衆院選の比例で141万票しかとれず、改選前の19議席から、2議席へと議席数を激減させました。東京都知事選で田母神俊雄氏が61万票を獲得したことを根拠に、600万票は獲得できると踏んでいたようですから、かなりのショックだったでしょう。ネット右翼は大した票田にならないことに、政治家たちも気づき始めています」(古谷氏)