LTPSの液晶については、ソニー、東芝、日立の液晶部門が統合し誕生したジャパンディスプレイ(JDI)が、タッチパネル(インセル)機能をはじめとして、技術面で大きく先行しているとみられていただけに、シャープの技術の底力を、あらためて内外に示した格好になったわけだ。

外せなくなったハシゴ

 JDIの本間充会長兼最高経営責任者(CEO)が、「液晶の世界でシャープは先生であり、われわれはまだ生徒にすぎない」と率直に語り敬意を払う中で、その磨き上げた技術の行く末が案じられているというのが、シャープの悲しい現状だ。

 シャープを幾度となく経営危機に陥らせてきた液晶事業の“身売り先”には、台湾勢の名が今、一部で挙がっている。

 だが、国は日本の液晶産業を守ろうと血税を投入してまで、JDIを誕生させた経緯がある。その設立を主導した経済産業省にしてみれば、海外への事業売却によって技術流出を許し、国境の向こう側で強大なライバル企業を誕生させるような事態になれば、JDI自体の存在否定になることを十分過ぎるほど認識しているはずだ。

 今後、経産省はどう動くか。官主導の業界再編には賛否が渦巻くものの、日本の液晶産業のあるべき姿を描けるのは、JDIでも、当事者能力のなくなったシャープでもなく、経産省しかいない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 中村正毅)