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デルがEMCを670億ドルで買収
巨大企業の合体は実を結ぶか

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第363回】 2015年10月19日
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 それによると、おおまかなところでは、31%の企業がこの買収を肯定的に見ており、否定的に観測している20%を上回っている。ただ、デルのサービスだけを利用している顧客は買収を歓迎している一方で、EMCのサービスしか利用していない顧客の40%が楽観的ではないという。

 楽観的でない理由は、買収による組織整理によって開発が遅れ、場合によっては製品やサービスが中断、中止されてしまうこともあり得るということ。また、デルが企業向けITサービス会社であること自体に対しての認識不足もあるようで、それが不信感につながっている。

 EMCのサービスしか利用していない顧客企業の間では、今回の買収が自社の目的に合っていないとする企業が42%もあり、今後EMCのサービスへの予算を減らすとする企業も13%ある。

 こうした買収が起こり、既存の顧客の間で不安感が広がると、その漁夫の利を得ようとするのが、競合企業である。ことに、EMCのサービスだけを利用してきた企業にあからさまなアピールを行って、顧客を奪おうという戦略に出るだろう。新生デルは、細やかなロードマップを描いて、自社だけでなく、EMCやヴイエムウェアの既存顧客に合うプランを提示する必要がある。

 今回のアンケート調査では、買収は開発を遅らせると見る29%以外に、21%が両社は合わないと見ており、さらに18%は買収は最終的に失敗に終わると予測している。

 世紀の大買収の行方は、それほど安泰とは言えないのである。
 

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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

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