こうした状況下、10月14日にFRB(連邦準備制度理事会)は地区連銀景況報告(Beige Book)を発表した。そこでの景気判断は、「景気は緩慢な(modest)拡大を続けた」であった。「緩慢な(Modest)」というのは、比較的弱気を意味する。

 景気後退を心配する切迫感はないが、景気拡大の勢いが鈍っていることは否定できない。そして、悩ましいのは、減速を引き起こした要因が判然としているわけではないことである。

中国要因では説明しきれない
何が米国景気の拡大を阻んだのか?

 何が、この変調をもたらしているのか? 説明として中国、新興国の成長減速の影響が言われる。しかし、中国経済の影響で、巨大な米国経済の変調を説明することには無理がある。

 まず、貿易のチャネルであるが、米国の中国向け輸出は、米国の輸出全体の10%でしかなく、その経済成長への寄与は小さい。

 8月、中国株の急落とともに世界的に株価の調整が引き起こされた。このため、金融市場のチャネルを通じた影響も気にされるところであるが、米国の株価は相応に回復している。

 ドル高のチャネルもあるが、人民元に対してだけドルが強いわけでもない。

 ドル高の影響は侮れないが、それでも中国発で米国経済が変調を起こしているというのは無理があろう。それでは、何が、米国景気の拡大を阻んだのか? ここでは、米国の金融政策と世界景気、物価環境に着目したい。