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齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機

どんなIoTのサービスが登場してくるか?

齋藤ウィリアム浩幸 [内閣府本府参与]
【第19回】 2015年11月10日
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センサーが暮らしを便利で豊かにする

 センサーのコモディティ化はほかにも、さまざまな可能性とアイデアをもたらしてくれます。日本で開発された洗浄便座は世界を席巻していますが、さらに、尿酸値や尿糖価を計測してヘルスチェックしてくれるトイレもヒットするかもしれません。IoTがナノテクノロジーと結合すれば、血液のなかにセンサーを送り込んで健康状態を測定したり、壁に塗る塗料のなかにセンサーを入れて部屋の状態をデータとして送ったりすることもできるようになるでしょう。夢物語、ではありません。

 アメリカではすでに、犬や猫などのペットにマイクロチップを埋め込むのが普通のことになりつつあります。今はまだ、迷子になったときに、どこの、誰のペットか判別するためというのが主な目的ですが、チップによって個別の認証ができることには、さらに大きな可能性が秘められています。

 散歩に出かけていた猫が家に戻ってきたときに、チップと勝手に通信して猫用に設置した扉が開くシステムは、今の技術で簡単につくれます。ペットでなく人間にチップを装着すれば、家の鍵は不要になります。自宅まで15分で帰れる駅についたら、自動でお風呂がスタンバイするようなサービスも可能でしょう。出張や家族旅行のためにペットのエサやりを友人などに頼んだ場合、その友人のIDを認証して家のロックが解除されるように設定することもできます。

 クジラなど、今までは生態に謎が多かった海洋生物にも、センサーを装着して追跡することができるようになってきています。貴重品や壊れ物を荷物として送るとき、震動や温度を測定して記録、あるいは送信するチップを、荷物の一つひとつに入れておくこともできます。荷物の状態に異常を感知したら、送り主や受け取る人のモバイルに自動で通知されるのです。手荒に扱うとクレームになってしまいますから、自然と荷物は丁寧に扱われるようになるでしょう。

 IoTはテクノロジーとアイデアの積み重ねです。これから、どんな製品やサービスが誕生し、社会に普及していくのか。想像するだけでも楽しいことだと思いませんか?

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齋藤ウィリアム浩幸
[内閣府本府参与]

さいとう・ウィリアム・ひろゆき
1971年ロサンゼルス生まれの日系二世。16歳でカリフォルニア大学リバーサイド校に合格。同大学ロサンゼルス校(UCLA)卒業。高校時代に起業し、指紋認証など生体認証暗号システムの開発で成功。2004年に会社をマイクロソフトに売却してからは日本に拠点を移し、ベンチャー支援のインテカーを設立。有望なスタートアップ企業を育成している。12年には、総理大臣直属の国家戦略会議で委員を拝命し、国会事故調査委員会では最高技術責任者を務めた。また13年12月より内閣府本府参与に任命されている。世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2011」選出。2015年6月より、パロアルトネットワークス合同会社副会長に就任。著書に『ザ・チーム』(日経BP社)、『その考え方は、「世界標準」ですか?』(大和書房)。


齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機

歴史的に、世界に挑むチャレンジ精神は本来、日本人が持っていた気質。しかし今の時代、日本のお家芸“ものづくり”だけでは新興国に負けるのは火を見るよりも明らかだ。成長へと反転攻勢に転じるために必要なものは何か――。それは革新的なイノベーションを起こすための「世界標準の思考」に他ならない。気鋭の起業家であり、技術者である筆者が、日本が再び世界をリードしていく道はなにかを説く。

「齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機」

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